“ガチ中華の先にある新たな何か”が生まれる?
ガチ中華のオーナーたちは草の根の人たちだ。中国という日本に比べ、常におそろしく変動の激しいジェットコースターのような社会と時代を、国を超えて生き抜いてきた。「これがダメなら次の手は何か」。いつも考えながら前に進もうとする、実にしぶとい人たちだ。(301ページより)
ここは重要なポイントだろう。彼らが供するガチ中華は、類例のないユニークなコンテンツだ。しかし日本在住の同胞や訪日する同胞にビジネスを依存してきたため、日本人の集客に成功している店は少ない。
しかも自分たちが商売をしている地域で起きていることにほぼ関心がなく、地域とつながっているという自治意識のようなものがない。それは地元の行政や日本のメディアにも言えることなので、双方があまり気にかけていないような状況にあるという。
地域に根付くには、言葉や宗教の違いだけでなく、民主主義と自治に関する理解が求められるだけに、彼らが本当の意味で日本社会に受け入れられることは難しいのかもしれない。
とはいえ、彼らには前述した生命力がある。そう考えるとこの先、“ガチ中華の先にある新たな何か”が生まれる可能性も高いのではないか。その動きには、期待したい気もする。
[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』(辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。
超大国の現在地と「トランプ後」の世界
