今回のイラン戦争で、アメリカと同盟関係にある湾岸諸国は、イランからミサイル・ドローン攻撃を受け、大きな被害を出した。しかし陸上でイランを取り巻くアゼルバイジャン、アルメニア、トルクメニスタン、アフガニスタンは、戦争に巻き込まれるのを巧妙に避けている。
ひやっとする局面はあった。トルクメニスタン(永世中立が建前)ではこの数年、米軍機の基地利用を許可しているとの噂が絶えなかった。トルクメニスタンがこれを止めようとしてこじれたのか、2月中旬にベルディムハメドフ人民評議会議長(前大統領で、国の実権を握る)が急きょ訪米。フロリダに出向いてトランプ大統領に会おうとしたが、実現しなかったようだ。
そして3月18〜19日にはカスピ海のイラン海軍基地が、イスラエルのミサイル攻撃を受けた。これは、ロシアがカスピ海経由でイランに支援物資を送るのを牽制したものとされる。カスピ海はトルクメニスタン、カザフスタンにとっては、対岸のアゼルバイジャンとの物流に重要な所で、この海の安全は確保しておきたいところ。また最近話題の「中央回廊」の構築でも、カスピ海横断は不可欠の要素だ。もっとも、中央回廊は海上輸送に比べればマージナル(限定的)な意味しかないのだが。
一方、アゼルバイジャンはイランの人口の4分の1がアゼル系だから、イランとの関係は丁寧に維持してきた。しかしイスラエルがそこに目を付けて(アゼルバイジャンを通じてイランに工作できると思ったのだろう)兵器を供与し、石油を輸入してアゼルバイジャンに食い込んでいる。3月5日、アルメニア領内にあるアゼルバイジャンの飛び地ナヒチェワン自治共和国の空港に、何者かがドローン攻撃を行った。アゼルバイジャン外務省はこれをイランによるものとしたが、イラン外相はアゼルバイジャン外相にすぐに電話してこれを否定。イスラエルによるものかもしれないとした。