Pete Schroeder

[ワシントン 24日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は24日、大手行を対象とした年次ストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。全米の大手行32行は深刻な景気後退局面に直面しても、貸し出しを継続できる十分な健全性を維持しているとしたほか、総額7000億ドルを超える損失を被った場合でも、最低自己資本要件を上回る水準を維持できるとした。

大手銀行の自己資本比率は1.6%ポイント低下したものの、不動産価格が約3割下落し、失業率が10%に上昇し、金融市場が混乱するという世界的な景気後退シナリオの下でも最低所要水準を上回った。ボウマンFRB副議長(金融監督担当)は「銀行システムの強健さが改めて示された」としている。

ストレステストの結果公表を受け、数行が増配を発表した。

JPモルガンは第3・四半期に普通株の四半期配当を1株当たり1.65ドルに引き上げるとともに、新たな自社株買いプログラムを承認した。ゴールドマン・サックスは来月から普通株配当を1株当たり4.50ドルから5ドルに引き上げると発表。前年比25%の増配となる。

モルガン・スタンレーは配当を15%引き上げて1株当たり1.15ドルとし、200億ドルの自社株買いプログラムを再承認した。ステート・ストリートは配当を10%引き上げる。

ウェルズ・ファーゴは第3・四半期の配当を11%引き上げ、1株当たり0.50ドルにする方針を示した。

ストレステストでは、各行はクレジットカード債権で約2000億ドル、商工業向け融資で約1600億ドル、商業用不動産向け融資で約750億ドルの損失を被ると想定された。融資関連の損失拡大や含み益見通しの縮小を受け自己資本は押し下げられたものの、想定シナリオの金利低下幅が前回より小さかったことから、金利収入の増加で自己資本が下支えされた。

質の高い自己資本を示す普通株等Tier1(CET1)比率は審査開始時の12.8%から11.2%まで低下した。個別行では、ストレス下のCET1比率が最も低かったのはファースト・シチズンズ・バンク(6.7%)。最も高かったのはチャールズ・シュワブ(32.2%)だった。

FRBは現在、ストレステストの手法の見直しを進めており、今年のストレステスト結果を各行に適用する「ストレス資本バッファー(SCB)」の見直しには用いない方針を2月に示していた。SCBは大手行が保有を義務付けられる追加的な自己資本で、ストレステストでの各行の成績に応じて変動する仕組みになっている。

FRBは結果公表にあたり、この方針を改めて確認。各行から意見を募った上で、ストレステストのモデルやシナリオを見直し、2027年のストレステスト後にSCBの更新を行うと説明した。

SCBが当面据え置かれることで、自社株買いや配当変更の可能性を含む資本政策を策定するに当たり、各行は資本政策の策定に必要な情報をすでに把握していることになる。

KBWのアナリストはストレステストを前にしたリポートで、「業界の資本状況は良好だ。各行は想定される目標自己資本比率や規制要件に対して余剰資本を持っており、業界は引き続き規制緩和の流れを生かせる立場にある」と指摘した。

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