Alexander Marrow

[ロンドン 21日 ロイター] - タンパク質含有量の表示を巡り、仏食品大手ダノンが米乳製品メーカー「チョバニ」を相手取って起こした訴訟は、ダノンがこの競合企業を脅威とみなしていることを鮮明にした。減量薬利用者の増加で追い風を受ける食品が限られる中、ヨーグルトは「GLP-1受容体作動薬(減量薬)」の使用中だけでなく、使用後も需要が押し上げられる数少ない分野の1つだからだ。

高タンパク質製品に対する消費者の旺盛な需要に応えることに苦戦してきたダノンは、15日にマンハッタンの連邦裁判所でチョバニを提訴し、同社の複数回分入りの大容量ヨーグルト「チョバニ20Gプロテイン」がタンパク質含有量を大きく見せていると主張した。ダノンは同製品が、ダノンの超高タンパクヨーグルト「オイコスPRO」の競合製品だとしている。

高タンパク質製品を巡る競争は、米国でとりわけ重要になっている。GLP-1減量薬の利用者が増える中、筋肉量の減少を抑えるため高タンパク食品を求める動きが広がっているためだ。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査によると、プロテインシェイクのような商品と異なり、ヨーグルトは減量薬による需要押し上げ効果が比較的長続きする数少ない食品の1つだ。

BCGのマネージングディレクター兼シニアパートナーのローレン・テイラー氏は、「ヨーグルトや肉のような高タンパク食品は、GLP-1減量薬の使用中に摂取頻度が増え、使用停止後はさらに高まる傾向がある」と述べた。

パリに本社を置くダノンは、チョバニが同社製品を模倣し、販売を伸ばすために消費者を誤解させていると主張した。チョバニはこの主張を否定した。ダノンはまた、チョバニの手法により、ダノンの10億ユーロ(約1850億円)規模のブランド「オイコス」に対して価格面で優位に立つことが可能になっているとも述べた。

チョバニのハムディ・ウルカヤ最高経営責任者(CEO)は、ダノンが非上場のニューヨーク企業であるチョバニに打撃を与える見出しを作り出すため、「あれこれと言い立てている」と述べた。ウルカヤ氏は2007年にチョバニを創業した。

ウルカヤCEOはロイターに対し、「正直、少し笑っているくらいだ。われわれは製品にタンパク質を外から添加することは一切ない。誰かを誤解させるようなことは決してしない」と語った。

ダノンは声明で、消費者は「明確で、正確かつ一貫した栄養情報」に基づいて商品を比較できるべきだと述べた。同社は、チョバニの大容量容器の表示では、1食分の分量が大きく設定されており、消費者に誤解を与え、「製品間の正確な比較」をできなくしていると主張した。

<攻勢強める競合に立ち向かうダノン>

ダノンは2025年後半に高タンパクヨーグルトへの極めて強い需要に対応しきれていない状況を明らかにしていたが、生産能力を着実に積み増している。一方、バークレイズのアナリストは5月、ダノンの米乳製品事業の立て直しを巡り、投資家の間で対応に危機感が欠けているとの懸念が高まっているとの見方を示した。

同社の株は今年に入って15%下落しており、MSCI世界株指数の11%上昇に見劣りしている。

バークレイズは「競合、特にチョバニははるかにうまくやっており、現在20%超の成長を遂げている」と指摘。「ダノンの増産対応は遅過ぎたとの見方があり、チョバニのような攻勢を強める競合と戦うには、より多くの資金を投じる必要があるのかもしれない」と述べた。

チョバニが共有したニールセンIQのデータによると、同社の米市場シェアは今年第1・四半期に26%となり、3年前の21%から上昇した。同じ期間にダノンのシェアは30.7%から25.8%に低下した。

開示資料によると、ダノンの乳製品部門の今年第1・四半期の米州売上高は、既存事業ベースで3%増だった。

ダノンは16年以降、少なくとも4回チョバニを訴えており、直近ではコーヒー包装のスローガンを巡って争った。ウルカヤ氏によると、これまでの訴訟は退けられてきた。

現在は植物性タンパク質ブランド「アロハ」を率いる元チョバニのマーケティング幹部、ブラッド・チャロン氏は「ダノンは年に4回か5回、何でもかんでも理由をつけてチョバニを訴える。競争できないなら訴えるということだ」と述べた。

一方でチャロン氏は、大手の消費財メーカーの多くが、タンパク質含有量などの表示項目を異なる形で見せるため、1食分の量を変更することはあるとも述べた。その上で、「最終的には、消費者は自分たちが誤解させられているかどうかを判断するだけの賢さがあると思う」と話した。

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