Ankika Biswas
[ベンガルール 23日] - 元日本銀行審議委員の白井さゆり氏は23日、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げすれば、1ドル=165円まで円安が進む可能性があるとの見方を示した。日米の大幅な金利差と、日本政府の為替介入への意欲を巡る疑念が円に下押し圧力をかけ続けているためだ。
現在は慶応大学教授を務める白井氏はロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで、「ドル円相場は徐々に163─165円台に向かって動く可能性がある」と指摘。「財務省と日銀は6月初旬以降、160円を超える動きを容認しており、現時点でその流れを変えるのは極めて難しいようだ」と述べた。
円相場は22日、対ドルで2年ぶり安値の161.92円を付けた。165円まで下落すれば1986年以来の安値水準となる。最新のデータによると、投機筋の円の売り越し(ネットショート)は15万0132枚と24年7月以来の高水準となっている。
FRBはウォーシュ新議長の下でのタカ派的な金利据え置きを実施、米国の利上げ観測を再燃させた。市場では年末までにFRBが0.25%ポイントの利上げを2回程度行うと織り込んでおり、9月までに利上げが行われる確率は75%とみている。
白井氏は、原油価格の最近の軟化が実際には円を支えていないとし、日銀は10月か12月に0.25%利上げすると予想。「市場は来年に1.5%へのもう一段の利上げを予想している。これが日銀にできる最大限だと考えている」と述べた。
マネックスグループのグローバルアンバサダー、イェスパー・コール氏は、日本のターミナルレートは28年初めまでに3%程度になると予想。「単純なテイラールールに基づけば日本の潜在成長率は1%、インフレ目標は2%で、したがって中立的な政策金利は3%程度となる」と述べた。
その上で「容赦ない円安は、個人とプロの投資家ともに日銀が後手に回っていると考えていることを明確に示している」との見方を示した。
円安に歯止めをかけるため日本は4月下旬から5月上旬にかけて外国為替市場で記録的な11兆7000億円規模の介入を行った。
白井氏は財務省が再び介入できるかどうかは不透明だとし、ベセント米財務長官が円安抑制へ日銀が利上げする必要があるとの考えを示していたことを指摘。「為替介入は米国債売却を伴うため、ベセント氏は米国債利回りにいかなる影響も及ぼしたくないと考えている」と述べた。
財政懸念も日本の資産を圧迫している。財源措置について明確な方針を示さないまま食料品への消費税を8%から1%に一時的に引き下げる方向で動いている。高市早苗首相の歳出計画を投資家は警戒しており、日銀の利上げ観測、インフレリスク、財政懸念が日本国債の利回りを高止まりさせている。
白井氏は「高市氏が国債を発行せずにどう拡張的な財政政策を行うのか疑問だ。市場は10年国債利回りが3%かそれ以上に上昇すると予想している。これは財務省の利払いに影響する」と語った。