Maki Shiraki
[横浜市 23日 ロイター] - 経営再建中の日産自動車 が23日に開いた定時株主総会で、焦点だった社外取締役の永井素夫氏の再任が否決された。同氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)出身で、日産の主要取引銀行からの独立性を疑問視する指摘が出ていた。
永井氏以外の取締役候補11人は、イバン・エスピノーサ社長を含めて選任が可決された。日産は株主総会後、永井氏の再任否決に伴い、同氏が務めていた監査委員会の委員長をベルナール・デルマス氏に変更する人事などを発表した。
永井氏は日本興業銀行(現在のみずほFG)出身で、みずほ信託銀行副社長などを務めた。2014年から日産の常勤監査役、19年の社外取締役就任以降は監査委員会委員長、指名・報酬の各委員会委員として監督にあたっていた。今回も取締役就任が承認されれば同委員長、各委員への再任を予定していた。
永井氏の再任を巡っては、議決権15%を持つ大株主の仏自動車大手ルノーが、同氏の独立性に疑念があるとして選任議案への議決権行使を棄権する意向が伝えられていた。
機関投資家に強い影響力を持つ米議決権行使助言会社2社は同氏再任に反対を推奨していた。インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は永井氏を「関連社外取締役」とみなし、監査・指名・報酬の各委員会で独立社外取締役が過半数を占める必要があると主張。グラスルイスも、みずほFG出身の永井氏の独立性に疑義があると指摘していた。
ISSは、永井氏と同様の理由で、みずほFG出身の真保順一氏の選任議案にも反対を推奨した。ルノーの関係者によると、同社は同氏に対しても議決権行使を棄権した。
ルノーの広報担当者は、棄権した理由について、永井・真保両氏が日産の主要債権者であるみずほFG出身のため、「独立性があるとはみなせない」とし、コーポレート・ガバナンスの国際基準に照らして棄権したと説明。特に永井氏については、常勤監査役就任から12年が経っており、在任の長さにも懸念を示した。
ルノーの棄権について、欧州金融グループのオッドBHFは「アライアンス(連合)における戦略的な転換というよりも、より選択的で原則に基づいたガバナンスのアプローチと合致したものと捉えている」とレポートで評価。その上で、株主総会の結果は「取締役会の独立性に関する広範な株主の意向を示すとともに、ルノーと日産の産業面での協力関係は変わらず、提携による価値創造を支え続けていく」との見解を示した。
日産は26年3月期に5330億円の最終赤字(前期は6708億円の赤字)を計上。従業員2万人の削減や7工場の閉鎖などを中心とした経営再建計画を進めており、27年3月期は200億円の黒字を見込むが、3年連続で無配とする方針。エスピノーサ社長は総会で、再建計画を開始してからの1年、「計画の実行に集中し、不透明な環境が続く中でも着実に進歩を遂げてきた」と振り返り、再建計画に続く新たな中期経営計画について「今年度後半にお話したい」と語った。
総会では、株価低迷や2期連続の巨額赤字計上などに対する株主の不満が噴出した。ある株主は、株価低迷の最大の原因は「経営者への不信」にあると指摘。従業員や地域に大きな犠牲を伴うリストラを断行しても「信用できない経営者のままでは明るい将来は期待できない」と訴えた。社外取締役についても、高額な報酬に見合う監督機能を十分に果たしていない、などといった批判が相次いだ。