Daniel Leussink Maki Shiraki

[東京 23日 ロイター] - 日産自動車が、英サンダーランド工場で生産する計画だったスポーツ多目的車(SUV)「キャッシュカイ」の電気自動車(EV)モデルの開発を昨年初めに中断し、凍結していることが分かった。業績の立て直しを急ぐ中、需要が鈍化するEVの車種を絞り込み、コスト削減を図る。

事情に詳しい関係者6人が明らかにした。ガソリン車とハイブリッド車(HV)で展開する現行のキャッシュカイは、日産の欧州販売の旗艦車種。日産が23年にEVモデルの開発計画を発表した際、英政府はサンダーランド工場がEV生産の主力拠点になると期待を示した。日産は欧州で販売する乗用車は30年までにすべてEVにする方針だった。

しかし、日産はその後、業績が低迷し、世界的に生産体制の見直しを進めている。事情に詳しい関係者によると、英国最大の自動車工場で6000人を雇用するサンダーランドについては英政府が資金支援することを日産と協議しており、数カ月以内に今後の方針について発表がある見通し。キャッシュカイの計画についても明らかになる見込みだという。

日産は現在、サンダーランドでキャッシュカイのガソリン車とハイブリッド車、主力EVの「リーフ」などを生産。27年初頭からSUV「ジューク」のEVモデルを量産する計画も発表している。

日産広報にコメントを求めたところ、キャッシュカイのEV計画については言及せず、HVを含む電動車のラインアップ拡充に引き続き取り組んでいると回答した。また、欧州市場ではEV需要が「大きく変動」しており、各国のEV支援策も見直されていると説明。こうした動向を踏まえ、複数のパワートレイン(駆動装置)を提供する「バランスの取れた」電動化戦略を進めているとした。

英政府は、日産の経営上の判断にはコメントを控えるとした。

日産はサンダーランドで生産した自動車を欧州へ輸出しており、現行のキャッシュカイは同社の欧州販売の半分近くを占める。欧州連合(EU)離脱後の英国の雇用や輸出を支える重要なモデルだが、膨大な通関手続きなどの影響(非関税障壁)により、英国からEUへの自動車輸出は高コストとなっている。リーフなども欧州で販売が低迷している。日産子会社のジャトコ(静岡県富士市)は、英国に工場を新設してモーターとインバーター、減速機を一体化したEV向け駆動装置「eアクスル」を現地生産する計画を撤回した。

日産は今月3日、サンダーランド工場の稼働率向上のため、中国・奇瑞汽車(チェリー)の英国向け乗用車の受託生産を検討する覚書を締結した。

(Daniel Leussink、白木真紀 編集:John Geddie、久保信博)

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