Humeyra Pamuk Jacob Bogage
[ワシントン/ルツェルン(スイス) 19日 ロイター] - バンス米副大統領は、トランプ大統領の首席交渉官としてイランとの戦争終結に向けた協議に臨むという、国際舞台でこれまで最も重要な役割を担おうとしている。そしてこれは、トランプ氏の後継者としてのバンス氏の将来を左右する可能性がある。
米国とイランは17日、敵対行為を停止する暫定和平合意に達した。ただ、核心的な争点は未解決のままとなり、イランの核開発計画、地域における武装組織への支援、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に関する決定は、今後60日間の協議に先送りされた。
この協議は、紛争に関わる全当事者、より広範な中東地域、そしてバンス氏の政治的野心にとってもリスクの高い局面となる。状況は依然として流動的で、バンス氏は協議開始のため18日夜に予定していたスイスへの出発を取りやめた。ホワイトハウスは、米代表団は「可能な限り早く出発する準備ができている」としている。
バンス氏は18日、最終的な和平合意に対する米国の期待を示した一方、両国の戦闘終結に向けた覚書に不満を示すイスラエルを厳しく非難。「イスラエル国内で最大の問題が米大統領だと考えている者は、イスラエルが置かれている現実を直視する必要がある」と述べ、一部の評論家からは、米国史上最も強いイスラエル批判の一つと評された。同時に、大統領選出馬の可能性に関する質問をかわす場面もあった。
こうした急速な展開は、バンス氏が自身の信仰の歩みを描いた著書「コミュニオン」の出版と、そのプロモーションに伴うメディアツアーと時期を同じくしている。バンス氏はツアー中、自身の信仰について語る一方、イラン合意の最大の擁護者としての立場をアピールした。
<トランプ氏を擁護>
トランプ氏は物価引き下げと「終わりなき戦争」と呼ぶ中東での紛争終結を公約に掲げて大統領選を戦った。しかし、足元ではインフレは加速し、共和党の一部議員は、トランプ氏が紛争による物価上昇圧力を緩和するために、イランに大きな譲歩を与えたと非難している。
こうした中、バンス氏は18日、「(トランプ)米大統領を少しは信頼してほしい。彼が米国民にとって不利な合意を結ぶなどという考えはばかげている」と批判を一蹴した。
バンス氏はこれまで、紛争の激化に警鐘を鳴らし、トランプ氏に外交的解決を提唱してきた。米国の世界的な軍事関与の抑制を望む共和党内の新興勢力のリーダーの一人といえる。
ただ批判の声も高まっており、保守派の人気コメンテーター、ベン・シャピロ氏は18日、米FOXニュースの番組で「私の意見では、(バンス)副大統領、つまりこのプロジェクトの首席交渉官は、大統領のために十分な役目を果たしていない」と非難した。
トランプ氏は、本来であれば国の外交トップであるルビオ国務長官ではなく、バンス氏を合意の旗振り役として前面に押し出しているとみられる。
ルビオ氏は2028年の共和党大統領候補指名争いの有力候補と目されているが、ルビオ氏もバンス氏も大統領選への出馬を表明していない。
国務省はコメント要請にすぐには応じなかった。