Takahiko Wada Yoshifumi Takemoto
[東京 19日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は、19日午前の衆院財務金融委員会で、「物価の基調が2%を超えて上振れていくリスクがある状況」として、金融緩和度合いの必要な調整が遅れると上振れリスクが顕在化し、その後の景気下押しにつながるおそれもあると警戒感を示した。過去に比べて、為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっていることも踏まえて適切に政策運営していきたいと述べた。
氷見野副総裁は、入院中の植田和男総裁に代わり日銀の半期報告を行った。日銀は16日までの金融政策決定会合で1.0%への利上げを決めた。
為替相場について、氷見野副総裁は、日本経済や物価に影響を及ぼす重要な要因の一つとの認識を示した上で、金融政策は為替相場のコントロールを目的としてないが、企業の賃金・価格設定行動が積極化する下で過去より「為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と指摘した。
決定会合では国債買い入れの減額措置について、2027年4月以降は減額を停止し、月2兆円程度で買い入れを継続することも決めた。
「引き締めと緩和」を同時に決めた理由を問われ、氷見野副総裁は、日銀は短期金利の操作を金融政策の主たる手段としており、国債買い入れに関する判断は「別のもの」と位置づけていると説明。また、減額停止は国債市場の機能改善の状況のほか、銀行や個人など国内投資家が国債保有を無理なく増やしていくためにはある程度の時間を要することなどを理由としたもので、「財政に対する配慮を理由とするものでない」と話した。
同席した日銀の中村康治理事は、長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況において機動的に国債買い入れの増額など実施する考えに変わりはないと述べた。
日銀が保有する上場投資信託(ETF)について、現時点では少しずつ処分を進めていくことが適当と考えているとした。
<適切な金融政策で物価安定なら「成長投資の拡大支える」>
今回の利上げにより、変動型の住宅ローン金利も上昇し、家計負担が増すことになる。中村理事は「これまでのところ、住宅ローンの金利上昇が家計支出に大きな影響を及ぼしているとはみていない」と述べ、今回の利上げが住宅ローン金利や家計の行動に及ぼす影響を注意深くみていくと説明した。
設備投資は緩やかな増加が続いているとの認識を示した。足元では人手不足や資材価格の高騰が設備投資の制約になっているとの指摘が多いとした上で「適切な金融政策運営を通じて物価安定を実現することは、成長投資の拡大を支える土台としても重要」と述べた。