もう1つは、アメリカの場合、事態はむしろ悪化しているということです。まず、コロナ禍に伴って都市の昼間人口が減り、公共サービスに支障が出ると、都市における清掃活動は停滞しました。ニューヨークをはじめ、多くの大都市で「ゴミ収集のサイクルが守られず街頭にゴミが散乱」したのです。その結果として、ネズミが激増したというニュースも頻繁に伝えられました。コロナ禍は治安を悪化させ、ホームレスを増やし、これも町の清潔感を損なうこととなったのでした。

今は、多くの都市で事態の改善が見られますが、それでもコロナ禍以前の街の賑わいは100%戻っておらず、従って清潔度も今ひとつということがあります。こうした問題に苦しんでいるからこそ、日本へ旅行すると街が清潔であることにショックを受けるし、ダラスで見られた日本人サポーターの行動は、批判ではなく称賛されるようになっているのだと思います。

善行は過剰にならない範囲で

今回のダラスでの「清掃活動」については、日本からは「海外から褒められたいだけ」「花火大会など日本国内でのポイ捨てはむしろ増えている」「男性は家庭内の清掃を担うのが先」など、一部では辛口のコメントも出ているようです。ですが、これまでは違和感や批判を浴びていた清掃活動が、今回ははっきりと評価されたということは、素直に受け取ってもいいのではないかと思います。

では、こうした活動を続けていけば、欧米でも一般人が「自分の捨てたもの以外のゴミも拾う」ようになるかというと、そこには文化の違いがあるので、そう簡単には行かないでしょう。ですから、無理に押し付けたり、日本人の行動を過剰に誇ったりする必要はないと考えます。仮に、日本代表が参加する試合はゴミが少ないことが予想されるので、清掃要員を減らすなどということが起きたら、労働争議になる可能性はあり、誰も幸せにならないことにもなりかねません。善行は過剰にならない範囲で静かに行うのが、まさに日本の伝統だと思うのですが、どうでしょうか。

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