<コロナ禍以降、アメリカの都市部の清潔度が悪化していることなども背景に>
サッカーの大きな大会では、日本人サポーターが試合終了後にスタンドのゴミ拾いという行動をする、このことは欧米ではある程度知られるようになっていました。ですが、そうした行動に対する視線はやや冷淡なものが多かったのは事実です。「他人が捨てたゴミまで拾うのは理解できない」「清掃員の仕事を奪うから良くない」といった感想が過半を占めていました。
特に後者、つまり「清掃員の雇用を奪う」という言い方は、言いがかりのように聞こえますが、アメリカではよく言われることです。例えば、アメリカでは、子どもの通う学校の掃除を子どもが行うことはありません。その理由として「清掃員(ジャニター)の人の役割を大切にする」というようなことは、よく使われる説明なのです。
今回は、そのアメリカでメキシコ、カナダとの共催でW杯が開催されています。日本代表の初戦はテキサス州ダラスで行われたオランダ戦でしたが、やはり日本人サポーターの皆さんは試合後の清掃を頑張ったようです。ダラスの場合、近年はトヨタの米国本社がカリフォルニアから移転してきて日系コミュニティが拡大中ですので、多くのサポーターが観戦に訪れ、そして清掃活動にも参加していたのかもしれません。
以前のような「違和感」「批判」は少ない
このことは、アメリカのメディアも予想していたようで、各通信社が「日本人サポーターの清掃活動」について報道していました。その報道のトーン、そしてネット記事に寄せられたコメントの数々、更には掲示板やSNSなどでの書き込みを見ていますと、以前のような「違和感」や「批判」は少なくなり、日本人の行動を称えるコメントが増えているのを感じます。
例えば、FIFAは公式のXアカウントで、日本人サポーターの清掃活動を紹介する動画を上げています。どうして清掃をするのかという問いに対して、日本人のサポーターが「競技、選手、そしてスタジアムへのリスペクトから行動している」と答えているだけの短い動画ですが、これも好感を持って閲覧されているようです。
どうして評価が変わってきたのか、理由は2つ考えられます。1つは、日本への観光旅行が依然として大ブームであるなかで、清潔な日本の町並みに衝撃を受けた人が多いということです。歩道も、駅も、それこそ地下鉄の駅や車内も、「ゴミが全く落ちていなかった」ということに、彼らは本当に驚き、感心をしているのです。「歩道にゴミが落ちていただけで、光景が汚されたように感じて自然にゴミを拾う日本人」を見て感動したとか、「ダラスの光景を見て日本での思い出が蘇った」というような声が多いのです。