人数が多い団塊ジュニアの世代は50代半ばになっていて、定年が見え始めている。退職すれば毎日が日曜日となり、生活は大きく変わる。さらに20年ほど経つと、長年連れ添った配偶者と死別する。若い頃に結婚して家庭を築いていても、誰しも最後は一人(独り)だ。

だが晩年に一人になることのインパクトは、男女で大きく異なるようだ。千葉大などのチームが発表した研究によると、配偶者と死別することで男性は認知症や鬱、絶望感、死亡リスクが増えるのに対し、女性ではそういう悪影響は少なく、幸福感や生活満足度が高まるという。

これが現実であろうことは、マクロな自殺統計からもうかがえる。2020年の自殺者数は、80代前半の有配偶男性が422人、死別男性が164人(厚労省「人口動態調査」)。同年10月時点の80代前半の有配偶男性は177万6077人、死別男性は29万4653人(総務省「国勢調査」)。有配偶者、死別者それぞれの自殺者出現率(自殺率)を算出し、棒グラフにすると<図1>のようになる。

高齢者の自殺率は女性より男性の方が高いが、注目してほしいのは有配偶者と死別者の違いだ。男性を見ると、死別者の自殺率は有配偶者の倍以上で、配偶者との死別によって鬱や絶望感が増すことがうかがえる。一方、女性では両グループ間の差はわずかで、そのような悪影響は起きにくいようだ。

男性は女性と比べて交流関係が狭く、定年退職後の高齢期では、話すのは一緒に暮らす妻とだけ。その妻に去られることの痛手は大きい。料理・洗濯・掃除といった家事も妻に依存しているので、その支えがなくなると生活はすさむ。女性は家庭の外の人間関係も多く、夫がいなくなると自由時間が増え、交友の頻度も増える。配偶者との死別で幸福感や生活満足度が高まるというのは、こういうことかもしれない。

高齢女性は配偶者と別れると自由時間が増える
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