<表1>は80代前半の無業男女の生活時間だが、女性は配偶者と別れると2次活動(義務的・拘束的なもの)の時間が大幅に減り、3次活動時間(自由時間)が増える。言い方は悪いが、夫の世話から解放されるためだろう。男性はその反対だ。ここにも、高齢期の「夫婦ジェンダー」の傾向が表れている。

冒頭の研究は、配偶者と死別した男性への社会的サポートの再構築を提言している。それもいいが、まずは男性を自立した生活者へと仕向けることが必要だろう。そのための第一歩は、家事をするよう促すことだ。

周知のように、日本の男性の家事時間は短い。仕事を辞めた高齢者は違うだろうと思われるかもしれないが、65歳以上の有配偶男性の平均家事時間(週当たり)は5.5時間でしかない。同年齢の有配偶女性は21.7時間。男性の分担率は、5.5/(5.5+21.7)=20.2%、5分の1ほどだ。

65歳以上の有配偶男性の平均家事時間を横軸、家事分担率を縦軸にとった座標上に、40の国と地域を配置すると<図2>のようになる。日本は左下にあり、国際的に見て高齢男性の家事時間が極めて短く、かつ妻との分担率も低い国であることが分かる。「日本では、妻に去られた男性の生活がすさみ、死亡リスクが高まるのは当然」と、海外の人からは思われるだろう。

これから高齢期はますます長くなるが、旧態依然の夫婦ジェンダー意識を残したままだと、生きづらさや葛藤に満ちたものとなる。性役割分業を撤廃すべき理由は、こういうところにもある。

<資料>
厚労省「人口動態調査」
「ISSP 2012 - Family and Changing Gender Roles IV」の個票

【グラフ】65歳以上の有配偶男性の家事時間・家事分担率(国際比較)
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