Ross Kerber
[11日 ロイター] - 米国の複数の州や自治体の投資責任者が、取引所運営大手ナスダックと指数算出会社FTSEラッセルに対して、最近両社がそれぞれスペースXなどの巨大企業による新規株式公開(IPO)を優遇する形で行った規則変更の詳細な説明を求めるとともに、投資家へのリスクを検証するまで変更を一時停止するよう提案した。
11日にロイターが確認した両社宛ての書簡には、実業家イーロン・マスク氏率いるスペースXが、750億ドルという記録的規模のIPOを通じて他の投資家に与える可能性がある影響への懸念が表明されている。
州の投資責任者は、取引が開始されればスペースXの巨大な評価額と強固なガバナンス構造が、高いボラティリティーや、指数算出会社と利用者の間の利益相反といったリスクを生むと述べた。
パッシブ・ファンドは、スペースXが注目度の高い指数にいつ組み込まれるかによって、同社株の自動的な購入の規模とタイミングが決まる。こうした中でナスダックとFTSEラッセルの両社は、取引実績期間の要件を短縮するなどの措置を講じ、スペースXのような巨大IPO銘柄が通常より早く指数に組み入れられるよう基準を緩和した。一方でS&Pダウ・ジョーンズは伝統的な指数採用を維持している。
FTSEラッセルと親会社のロンドン証券取引所グループ(LSEG)に送られた書簡の一通には「FTSEラッセル指数ガバナンス委員会に対し、指数の算定手法の変更を再考し、上場企業や引受人の利益を、パッシブ・ファンド資産の利益より優先させないよう求める。これらの資産はスペースXや、その後に続くオープンAI、アンソロピックなどのIPOで生じかねない価格誤認のコストを負担することになる」と記されている。
書簡にはニューヨーク州のトーマス・ディナポリ監査官、ニューヨーク市のマーク・レバイン監査官、イリノイ州のマイケル・フレリックス財務官、メリーランド州のブルック・リアマン監査官が署名。全員が、指数の動きに基づいてスペースX株の「強制的な買い手」となるパッシブ・ファンドを含む、州の退職年金資産を管理している。
LSEGの担当者はコメントを拒否した。
ナスダックにもフレリックス氏、リアマン氏とオレゴン州のエリザベス・スタイナー財務長官から同様の書簡が送られ、FTSEラッセル宛て書簡と同じくナスダックに対し、規則変更による投資家への影響に関する正式な分析を行わない限り、規則の施行を停止するよう求めた。
書簡は「もし分析を行っているのであれば、その分析を公表してほしい。そうでなければ1兆4000億ドルを超える投資家資産に影響を与える規則変更が、なぜそのような分析なしに採用されたのかを説明してほしい」としている。
また投資責任者は、ナスダックが内部の利害対立をどのように調整したのか、スペースXやその顧問を含む企業が新規則の策定に関与したかどうかについての説明も要求した。
ナスダックの広報担当者は書簡に関する質問に電子メールで「公開市場は10年前とは根本的に異なっている。企業はより長く非公開を維持し、より大規模に上場し、より複雑な株式構造で参入するようになっている。ナスダック100指数の算出手法の更新は、こうした変化を反映したものであり、正式な公開協議を経て実施された。この変更は特定の企業のために設計されたわけではなく、同じ市場動向に対応して他の主要な指数算出会社が独自に行った更新と一致している」と述べた。