<為替> トランプ米大統領がイランとの協議が進展していることを踏まえ、この日の夜に予定していたイランに対する攻撃を中止すると表明したことを受け、ドルが円やユーロなどの主要通貨に対し下落した。トランプ氏は朝の時点では、この日の夜にイランを「極めて強力に攻撃する」と表明し、イランの原油インフラの拠点であるカーグ島を掌握する考えを示していたが、午後になり、イランとの協議がイラン最高指導部レベルに引き上げられ、「協議および最終的な事項」が承認されたことなどを踏まえ、攻撃を中止したと明らかにした。トランプ氏はその後、イラン問題を巡り「素晴らしい合意」が成立したとし、早ければ今週末にも欧州で署名される可能性があると表明。数日中に最終合意に達する可能性があるとし、署名式にはバンス副大統領が出席すると明らかにした。これについて、イラン準国営のファルス通信は、イラン側は正式な回答を行っていないものの、この合意を承認する公算が大きいと報じている。ドルは地政学的緊張が高まる局面で「有事の買い」が入り上昇する傾向があるが、和平への観測が強まると下落する傾向がある。 マネックスUSAのトレーディング責任者フアン・ペレス氏は「事態のエスカレーションがデエスカレーションにつながるというパターンに市場は慣れてきている」とし、「こうした背景が為替相場に反映されている」と指摘。「攻撃が長期化する可能性が高まればドルにとっては大きなプラス材料になる一方、和平合意で事態が急速に収束する可能性が意識されれば、株式などのリスク資産への選好が高まり、ドル相場に下押し圧力がかかる」と述べた。 バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「きょうもまた取引時間中にトランプ大統領がイランへの攻撃を示唆した後に撤回し、『和平は目前だ』などと発言した」とし、「こうした場合、市場ではリスク選好度が高まる」と指摘。「株式などのリスク資産に買いが入り、ドルが売られる展開になる」と述べた。主要6通貨に対するドル指数は0.41%安の99.64と、約1週間ぶりの安値近辺。円は対ドルで0.49%高の159.73円。ただ、政府・日銀による為替介入が警戒される領域にとどまっている。ユーロ/ドルは0.42%高の1.15820ドル。欧州中央銀行(ECB)はこの日、政策金利である中銀預金金利を0.25%ポイント引き上げ、2.25%とした。利上げは2023年9月以来、約3年ぶりだった。 米連邦準備理事会(FRB)は16─17日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定するとの見方が大勢になっている。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが低下した。トランプ米大統領がこの日の夜に予定していたイランに対する攻撃を中止すると表明したことを受けた。トランプ氏はこの日の朝、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「今夜、イランを極めて強力に攻撃する」と投稿し 、イランの原油インフラの拠点であるカーグ島を掌握する考えを表明。しかしその後、イランとの協議が進展していることを踏まえ、イランに対する攻撃を中止すると述べた。それまで利回りは、軍事行動に踏み切るとの観測から上昇していた。 TDセキュリティーズの米国金利ストラテジスト、モリー・ブルックス氏は、合意が最終的にまとまったことが明らかになるまで、市場は慎重な姿勢を続ける可能性が高いと指摘。合意に到達すれば「原油先物価格は下落するだろうが、原油の現物価格は依然として高止まりする可能性がある。そのため、今後数カ月間はインフレへの波及が続くだろう」との見方を示した。 トランプ氏の一連の発言を受け、市場が織り込む年内の連邦準備理事会(FRB)による利上げ確率は後退した。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む12月までの利上げ確率は55%と、取引序盤の68%から低下した。利回りは、朝方発表された5月の米卸売物価指数(PPI)が前年比で3年半ぶりの大幅な伸びとなったことを受け、上昇する場面もあった。 供給面では、財務省が実施した220億ドルの30年債入札は需要が軟調。最高落札利回りは5.020%と、入札締め切り時点の水準を1ベーシスポイント(bp)超上回った。応札倍率は2.33倍と、平均を下回った。 金利動向に敏感な2年債利回りは5.5bp低下の4.072%。 10年債利回りは7.3bp低下の4.467%。 2年債と10年債の利回り格差は39.5bpに縮小した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要株価指数が大幅高で取引を終えた。トランプ米大統領がイランへの攻撃計画を中止したと表明したことを受けて上げ幅を拡大した。投資家は米実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業スペースXの12日の上場に注目している。 主要3指数はいずれも、米国とイランが一時的な停戦で合意した4月8日以来最大の上昇率を記録した。攻撃が予想されていた数時間前、トランプ氏は「トゥルース・ソーシャル」で、イランとの協議が同国の最高指導部レベルに引き上げられ、地域諸国の承認を得たと表明した。トランプ氏はその後、ホワイトハウスで記者団に対し、米国とイランは早ければ今週末にも和平合意に署名する可能性があり、これによりホルムズ海峡を通る船舶の往来が再開されるとの見方を示した。 これを受けて米株市場は前日の急落からの反発を強めた。半導体メーカー株が上昇し、S&P500種を押し上げた。フィラデルフィア半導体指数は7.9%上昇し、2025年4月以来最大の上昇率となった。 主要株価指数は前日、1%超下落し、S&P500情報技術指数は調整局面入りが確認されていた。 パー・スターリング・キャピタル・マネジメントのディレクター、ロバート・フィップス氏は「テクニカル指標は比較的売られ過ぎの水準にある」と指摘。「急ピッチで上昇し過ぎたのと同じように、急ピッチで下落し過ぎた」と述べた。スペースXは11日、新規株式公開(IPO)を通じて1株135ドルで約5億5556万株を発行し、過去最大となる750億ドルを調達した。上場時の時価総額は1兆7700億ドルとIPOとして過去最高となる。 同社は12日にナスダック市場で取引を開始する。オラクルは8.5%急落。同社は10日、26年度(26年5月まで)の設備投資が会社予想を上回ったことを明らかにした。さらに27年度も追加の借り入れを行う方針を示し、人工知能(AI)インフラ構築に必要なキャッシュバーン(資金燃焼)の規模が膨大になることを浮き彫りにした。労働省が11日発表した5月の卸売物価指数(PPI)は3年半ぶりの大幅な伸びを記録。中東情勢の緊迫化を背景にエネルギー製品の価格が押し上げられ、インフレ圧力の高まりを改めて裏付ける内容となった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物>
トランプ米大統領がイランへの軍事攻撃計画を中止したことで、原油高によるインフレや金利上昇への懸念が和らぎ、金相場は上昇した。スポット金は一時6カ月ぶり安値を付けた後、米東部時間午後2時(日本時間12日午前3時)時点で1オンス=4153.71ドルと、2%上昇した。
米金先物8月限の清算値は0.5%安の4114ドルだった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米国時間の原油先物は下落した。トランプ米大統領がこの日の夜に予定していたイランに対する攻撃を中止すると表明したことを受け、3カ月以上続く戦争の終結に対する期待が高まった。 清算値は、北海ブレント先物が2.72ドル(2.9%)安の1バレル=90.38ドル。米WTI先物は2.32ドル(2.6%)安の87.71ドル。トランプ氏はイランとの協議が進展していることを踏まえ、この日の夜に予定していたイランに対する攻撃を中止すると表明した。また、イラン問題を巡り「素晴らしい合意」が成立したとし、早ければ今週末にも欧州で署名される可能性があると述べた。トランプ氏は朝の時点では、この日の夜にイランを「極めて強力に攻撃する」と表明していた。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 159.92/159.
96
始値 160.52
高値 160.59
安値 159.65
ユーロ/ドル NY終値 1.1577/1.15
81
始値 1.1531
高値 1.1589
安値 1.1504
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*22. 4.9544
50 %
前営業日終値 99*19.5 5.0250
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*10.5 4.4591
0 %
前営業日終値 98*22.0 4.5400
0 %
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.0 4.1810
0 %
前営業日終値 99*12.2 4.2640
5 %
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.2 4.0619
5 %
前営業日終値 99*24.3 4.1270
8 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 50848.75 +929.97 +1.86
前営業日終値 49918.78
ナスダック総合 25809.66 +640.16 +2.54
前営業日終値 25169.50
S&P総合500種 7394.30 +127.31 +1.75
前営業日終値 7266.99
COMEX金 8月限 4114.0 ‐19.3
前営業日終値 4133.3
COMEX銀 7月限 6400.1 ‐73.9
前営業日終値 6474.0
北海ブレント 8月限 90.38 ‐2.72
前営業日終値 93.10
米WTI先物 7月限 87.71 ‐2.32
前営業日終値 90.03
CRB商品指数 369.7470 ‐3.6686
前営業日終値 373.4156