Bharath Rajeswaran
[10日 ロイター] - 資産運用世界最大手の米ブラックロックはインド株について、直接的な人工知能(AI)関連銘柄が欠如していることや原油リスクの上昇を理由として「売られ過ぎている」と指摘し、記録的な外国人投資家の資金流出や厳しいマクロ環境もインドの中長期的な投資価値を損なわないとの見解を示した。
世界全体で14兆ドル超の資産を運用するブラックロックは、インドに対して「完全なオーバーウエート(強気)」というよりは「建設的(前向き)」なスタンスを取っている。
同社の欧州・中東・アフリカ(EMEA)ウエルス投資戦略責任者を務めるナターシャ・サルカリア氏は10日、ロイターに、インドは人口動態、インフラ、金融、そして間接的なAI関連の機会に支えられた、同社にとって最も確信度の高い中長期的な新興国の投資対象の一つだと語った。「インドの国内総生産(GDP)成長率が6%から7%の間で推移する限り、それは経済が成長と拡大を続けるための絶好のポイントとなる」とした。
5日に発表されたデータによると、インドの1-3月成長率は予想を上回る7.8%を記録した。一方で、インド準備銀行(RBI、中央銀行)は原油コストの上昇と継続的な資金流出を受け、来年度の予想成長率を6.6-6.9%に引き下げ、通貨ルピーを下支えするための措置を発表している。
低インフレと高成長が共存する「ゴルディロックス(適温経済)」の状態だったインドは、イランでの戦争によって混乱がもたらされた。この戦争は原油・ガス価格を押し上げ、ルピーに圧力をかけ、供給ショックが広がるリスクを高めたからだ。
同国は世界第3位の原油輸入国であるだけでなく、投資家が半導体株を追い求めた結果、市場価値はAI関連に強みを持つ台湾や韓国を下回るまでに低下。代表的な株価指数のニフティ50とSensexは、今年これまでにそれぞれ11%と13%下落している。
それでもサルカリア氏は、市場のインド株離れは行き過ぎだと述べ、いずれの事象もブラックロックが弱気に転じる理由にはならないとしている。
また同氏は「インドには派生的なAIストーリーがないわけではない。インフレを抑制する勢いが維持され、厳しい原油環境を吸収できるだけの成長がある限り、われわれにとっては問題ない」と付け加えた。
投資家が半導体メーカーを超えて、AIインフラ構築の恩恵を受ける銘柄を模索する中で、世界的に資本財、素材、公共事業といったセクターが好調だという。
こうした中でブラックロックは金融、資本財、素材、公共事業、および一般消費財の各銘柄に対して引き続き前向きな姿勢を維持している。
ブラックロックは世界全体で金融セクターを好む傾向にあるが、インドにおいても同セクターを強気に見ている。その根拠は、国内銀行の堅調な貸し出しの伸びや相対的に魅力的なバリュエーション、そしてRBIによる最近の措置による潜在的な恩恵だ。
サルカリア氏はインドの株価指数の12カ月予測値は示さなかったが、今年のMSCIインド株指数の利益成長率は10%台前半になると想定した。ただし、原油価格の上昇、ルピー安、原材料コストの上昇が今後2四半期にわたって企業利益に反映されるため、短期的にはボラティリティーが生じる公算が大きいとしている。