Lisa Baertlein

[ロサンゼルス 10日 ロイター] - アジアから米国へのコンテナ輸送費用は米国・イスラエルとイランとの戦闘が始まって以来、2倍に跳ね上がっている。燃料価格の高騰と、戦闘長期化によるさらなるコスト増を懸念する輸入業者の先回り的な需要拡大が背景。

フレイト・プライシング・プラットフォーム「ゼネータ」のチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は「エネルギー危機の脅威をどれほど深刻に受け止めるべきかを知りたければ、石油市場よりもコンテナ輸送を見るべきだ。リスクは石油市場よりも、連鎖的に上昇する運賃にはるかに明確に織り込まれているからだ」と指摘する。

こうした動きは、既に高い米国の物価上昇率をさらに押し上げる恐れがあり、イランとの戦闘を開始したトランプ米政権にとって大きな試練になっている。

ライト米エネルギー長官は5日、燃料価格を下げるには、最終的にホルムズ海峡を通る石油の輸送を増やすためのイランとの決着が必要になると認めた。

最新のドリューリー・ワールド・コンテナ指数(WCI)によると、上海からロサンゼルスへの40フィートコンテナ1個当たりの非契約スポット運賃は足元で4565ドル、上海からニューヨークへの運賃は5505ドルだった。

ゼネータとドリューリーが報告したアジアから米国へのスポット運賃は、イランとの戦闘が始まった2月末の水準からほぼ100%上昇した。ただ在宅消費者の爆買いを誘発したコロナ禍初期のピーク時の1万6000ドルは依然として大きく下回っている。

ホルムズ海峡が事実上封鎖された結果、世界の石油在庫と緊急備蓄は急速に枯渇している。燃料アナリストや海事の専門家は、トランプ大統領が早期にイランとの合意を取り付けることができたとしても、バンカー(船舶用重油)燃料の供給が正常に戻るまでには約1年かかる可能性があると警告する。

船舶が使用するタール状のバンカー燃料について、現時点では広範な不足は起きていないものの、供給量は減少し、中東紛争の影響が少ない地域へと振り向けられている。

こうした混乱に加え、荷主による一部の前倒し発注も重なり、船舶用燃料価格の公表機関、シップ・アンド・バンカーのデータに基づくと、主要20拠点の低硫黄燃料油の価格は、戦闘開始から6月9日までに55%上昇し、845ドルに達した。

価格は地域によって大きく異なる。ペルシャ湾岸諸国からの石油や燃料を運ぶ船の重要な給油拠点となるアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラでは1211ドル、主要ハブのシンガポールでは770.50ドル、欧州のハブのロッテルダムでは676ドル、米国で最も繁忙なコンテナ港を擁するロサンゼルスでは918ドルだった。

アナリストらの話では、バンカー燃料はコンテナ船の航海費用の最大60%を占める可能性があるため、わずかな価格変動でも、運賃がすぐに上昇する恐れがあるという。

海事・エネルギー諮問会社ブルー・ウォーター・ストラテジーの創設者、ジゼル・ビダースホーフェン氏は「ホルムズ海峡が年後半まで封鎖されるか、あるいは一部しか利用できない状態が続けば、必ずしも全ての場所ではないにせよ、主要な油種や重要拠点で不足が予想される」と述べた。

<工場への圧迫>

米国の企業活動の先行指標となる物流管理者指数(LMI)を取りまとめているザック・ロジャース氏は、燃料供給の混乱はアジアの製造工場の減産を意味する可能性もあり、米国の輸入業者が購入を希望する一部製品の価格上昇や入手困難を招くと指摘する。

同氏は、本質的に「船を動かすための燃料だけでなく、それらの船を満たす部品を生産する工場を稼働させるための燃料も不足することになる」と語る。

MEMAオリジナル・イクイップメント・サプライヤーズのコリン・ショー会長によると、一部の自動車部品サプライヤーは、リスクヘッジとしてプラスチックや樹脂の原材料を前倒しで調達しているという。

南アジアや東南アジアでは、プラスチック包装から合成繊維に至るまで、あらゆるものに使われる中東産の原油や液化天然ガス(LNG)由来の製品の代替コストが高まっている。ユーラシア・グループのエネルギー・気候・資源担当マネジングディレクター、ヘニング・グロイスタイン氏は、一部の工場経営者は赤字を出すか閉鎖するかの選択を迫られてもおかしくないとの見方を示した。

同時に、それらの工場から世界の流通拠点となる主要港へ商品を運ぶ「フィーダー船」のサービスは、より収益性の高い航路のために燃料を確保する目的で、縮小されるリスクがあるという。

グロイスタイン氏は「供給不足というよりは、コストによる燃料不足が起きている。その影響は同じだ」と述べた。

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