[ワシントン 10日 ロイター] - 対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を手がける米オープンAIが10日公表した報告書によると、中国の政治宣伝に従事する工作員が、トランプ米政権の関税政策への反対をあおり、データセンターやAIを巡る米国内の議論に介入するため、チャットGPTを利用していたことが分かった。
報告書に基づくと、2025年後半から今年初頭にかけてこれらの試みはほとんど、あるいは全く効果がなかったとみられるが、デジタル上の世論操作、さらにはAI企業自身を標的とした工作においてさえ、生成AIがいかに中心的な存在になりつつあるかを物語る新たな事例となった。
在ワシントンの中国大使館はロイターが送ったコメント要請のメールに回答していない。
オープンAIは、中国語を話すユーザーのグループが、チャットGPTを使ってトランプ大統領の通商・技術政策を批判するスローガンや風刺画を作成し、その後Xに投稿していた経緯を特定したと述べた。
それらの風刺画では、トランプ氏が国際舞台で破壊的な行動を取る様子、例えば「グローバルな未来」と書かれた壁にハンマーを叩き付けたり、自分が乗っているはしごを切り落としたりする姿が描かれていた。同じグループはまた、中国語の記事のコメント欄で使用するための中国語のコメントや、イタリア語と日本語のコンテンツの生成にもチャットGPTを利用していた。
オープンAIは別のユーザーグループの正体について、中国政府関連の業務を行う同国のテック企業とまで突き止めたとも述べたが、その企業名は明らかにしなかった。同社によると、そのグループは米国内で重大な関心事となっているAIやデータセンターを巡る議論に介入しようとしていた。米国では10を超える州が、データセンターの建設に対する規制を導入済みか検討中だ。
オープンAIが共有した風刺画のサンプルでは、AI・データセンター業界が、莫大な電力消費によって一般市民に害を及ぼす強欲な利益追求者として描かれていた。
同社主任調査員のベン・ニモ氏は記者団に、これらの一連の工作は「米国のAIとより広範な技術政策に関する正当な議論」を操作することを目的としているようだと語り、工作員が世論操作のために米国のAIを利用したのは皮肉な構図だと指摘した。