<為替> ドルが軟調気味に推移した。5月の米消費者物価指数(CPI)の伸びがエコノミスト予想と一致したことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げに踏み切るとの見方を強めるには至らなかった。労働省発表の5月のCPIは前年比4.2%上昇し、2023年4月以来の高い伸びとなった。中東情勢を背景にエネルギー価格が急騰したことで押し上げられ、伸びは4月の3.8%から加速。前月比では0.5%上昇と、伸びは4月の0.6%から鈍化した。前年比、前月比ともにロイター調査によるエコノミスト予想と一致した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比2.9%、前月比0.2%、それぞれ上昇した。 コーペイ(トロント)のチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「市場ではコア指数の上昇加速が懸念されていたが、そうはならず、エネルギー価格の急騰はFRBが重視するコア指標にまだ波及していないことが示唆された」と指摘。「16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明はこれまでより中立的なものになるとの見方が市場で織り込まれつつあるほか、年末までの利上げ観測もやや後退している」と述べた。 資産運用会社グレンミードの投資戦略・調査部門責任者、ジェイソン・プライド氏は「エネルギーコストが高止まりして3カ月が経過したが、コア財価格への顕著な波及はまだ確認されていない」とし、「イラン情勢でガソリン価格に大きな影響が出ているものの、広範なインフレには発展していないということが今回のCPI統計で明確に示された」と述べた。 CPIを受け、金利先物市場が織り込む9月に利上げが実施される確率は約45%と、50%弱から低下した。ロイター調査によると、エコノミストの大多数は年内は金利は据え置かれると予想している。終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.1%安の99.875。下落したものの、8日に付けた2カ月ぶり高値(100.214)付近にとどまっている。円は対ドルで160.475円と、ほぼ横ばい。政府・日銀による介入が警戒される160円近辺での取引が続いている。 日銀は15─16日に開く金融政策決定会合で利上げを決定するとの見方は市場でほぼ完全に織り込み済み。このため、実際に利上げが実施されても、それだけで円安基調が大きく反転する可能性は低いとみられている。 IGの市場アナリスト、トニー・シカモア氏は「次回利上げ時期を12月から9月に前倒しする可能性や、年内3回目の利上げの可能性を示唆するようなタカ派的な発言が出なければ、財務省は再び為替介入で円相場の防衛に動かざるを得ない可能性が高い」と述べた。ロイターが実施したエコノミスト調査では、日銀は今月と第4・四半期に追加利上げを実施し、政策金利は年末までに1.25%に達するとの見通しが示された。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米国とイラン間の緊張の高まりを受け、国債利回りが小幅上昇した。また、朝方発表されたコアインフレ指標の伸びが鈍化したことを受けて、利回りは一時低下する場面もあった。トランプ米大統領は10日、イランは交渉合意に時間をかけすぎたとし、今や「代償を払わなければならない」と述べた。一方イランは、報復攻撃の応酬後、米国との外交見直しに言及。また、ホルムズ海峡周辺の標的に対する米国の攻撃への報復として、精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」がヨルダンやクウェートの米軍基地を攻撃した。市場は、朝方発表された米消費者物価指数(CPI)にも注目。米CPIは前年比では2023年4月以来の高い伸びとなった一方、前月比では伸びが鈍化。また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%上昇と、伸びは4月の0.4%から鈍化した。これを受け、午前の取引で利回りは一時、低下した。グッゲンハイム・インベストメンツの米国エコノミスト、マット・ブッシュ氏は「コアインフレ率については、ある程度の安心感が期待されていたが、今回の報告は概ねその期待に応えるものだった」と指摘。関税の物価への影響は引き続き低下しており、テクノロジー関連のインフレも鈍化したものの、サービス価格は依然として高止まりしており、エネルギーコストの上昇が航空運賃に波及したと述べた。 その上で、「全体としては、FRBの短期的な政策運営に大きな影響を与えるものではない」との見方を示した。 フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、FRBが12月までに利上げを行う確率は65%との見方を織り込んでおり、前日9日とほぼ変わらなかった。供給面では、財務省が実施した390億ドルの10年債入札は堅調な需要がみられた。最高落札利回りは4.538%と、入札前取引の水準をわずかに下回った。応札倍率は2.57倍と、昨年9月以来の高水準となった。11日には220億ドルの30年債入札が実施される。 10年債利回りは1.2ベーシスポイント(bp)上昇の4.54%。 金利動向に敏感な2年債利回りは4.125%と横ばいで推移した。 2年債と10年債の利回り格差は41.4bpに拡大した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要株価3指数が軒並み1%超下落した。半導体株の下げが続いたほか、米・イラン間の緊張再燃で不確実性が高まった。トランプ米大統領は10日、イランとの和平合意が成立しなければ、「非常に激しく」攻撃すると表明し、前日に続きこの日もイランが攻撃を受ける可能性があると改めて警告した。 フィラデルフィア半導体株指数は3.6%下落し、エヌビディアとブロードコムがS&P総合500種の主な押し下げ要因となった。投資家は同セクターの割高な株価水準を懸念してきた。 S&Pの情報技術セクターは6月2日に付けた終値ベースの過去最高値から11%下落して取引を終え、調整局面入りが確認された。 投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)はこの日も上昇した。 USバンク・ウェルス・マネジメントの投資ストラテジスト、トム・ハインリン氏は、ハイテクセクターで投資家の利益確定の動きが続いていると指摘した。 同氏はまた、投資家が最近の経済指標を受けて「より高い金利を織り込みつつある」とし、戦争も懸念していると述べた。「紛争は夏の半ばから終盤まで続くかもしれない」と語った。 市場の下落に拍車をかけたのは、運送会社の株安だった。アマゾン・ドット・コムが米国で混載トラック輸送(LTL)サービスを拡大すると発表したことを受け、XPO、JBハント、オールド・ドミニオンの株価が下落した。工業セクターは3.4%下げ、セクター別下落率で最大となった。 サーバー製造のスーパー・マイクロ・コンピューターは28%急落した。拡大する人工知能(AI)サーバー需要向けの部品購入資金を賄うため、一連の株式・株式関連の資金調達取引を通じて70億ドルを調達する計画を発表した。 IT大手オラクルは引け後に発表した決算を受けて時間外取引で約1%下落した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米国とイランの戦闘拡大への懸念や、インフレ抑制に向けた利上げ観測を背景に、金相場は大幅に下落した。米金先物8月限の清算値は3.6%安の4133.3ドルだった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物>
原油先物はアジア時間の取引序盤に約1%上昇した。米軍が新たにイランへの攻撃を開始したことに加え、米原油在庫が大幅に減少したことを受けて、前日に付けた約7週間ぶり安値から反発した。
米軍は9日、イランに対する新たな攻撃を開始したと発表した。トランプ大統領がホルムズ海峡で米軍のアパッチヘリコプターがイランによって撃墜されたと明らかにしたことを受けた措置で、両国の和平の見通しに対する疑念が一段と深まった。 北海ブレント先物は0.83ドル(0.9%)高の1バレル=92.29ドル、米WTI先物は0.68ドル(0.8%)高の88.97ドル。 供給面では、米石油協会(API)が9日発表したデータを引用した市場関係者の話によると、米原油在庫は6月5日までの週に912万バレル減少し、8週連続で減少。ガソリン在庫は119万バレル減少した。 米国は今回の紛争中、原油や石油製品の供給国として存在感を高め、アジアと欧州向けの輸出を拡大してきた。米在庫の減少は輸出を抑制し、価格を押し上げる可能性がある。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 160.53/160.
57
始値 160.45
高値 160.57
安値 160.33
ユーロ/ドル NY終値 1.1535/1.15
36
始値 1.1551
高値 1.1572
安値 1.1535
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.0 5.0323
0 %
前営業日終値 99*26.5 5.0110
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*18.5 4.5543
0 %
前営業日終値 98*25.0 4.5280
0 %
5年債(指標銘柄) 17時01分 99*10.0 4.2798
0 %
前営業日終値 99*13.7 4.2530
5 %
2年債(指標銘柄) 17時01分 99*23.2 4.1453
5 %
前営業日終値 99*24.5 4.1240
0 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 49918.78 -953.33 -1.87
前営業日終値 50872.11
ナスダック総合 25169.50 -509.32 -1.98
前営業日終値 25678.82
S&P総合500種 7266.99 -119.66 -1.62
前営業日終値 7386.65
COMEX金 8月限 4133.3 ‐153.1
前営業日終値 4286.4
COMEX銀 7月限 6474.0 ‐50.0
前営業日終値 6524.0
北海ブレント 8月限 93.10 +1.65
前営業日終値 91.45
米WTI先物 7月限 90.03 +1.83
前営業日終値 88.20
CRB商品指数 373.4156 +1.0948
前営業日終値 372.3208