下落が加速した背景と、AI相場の危うさ

市場予想を大きく下回る業績見通しを提示した背景には、フジクラが直面しているサプライチェーンの制約があります。光ファイバーケーブルの原材料である水素の調達が困難になっており、製品の供給に制約がかかっていることが明らかにされました。

経営陣は、需要は引き続き旺盛であるものの、水素が調達できずに供給が追いつかなくなる懸念を業績予想に保守的に織り込んだ、と説明しています。これにより、収益拡大の機会を逃すのではないかという懸念が市場に広がったことも、投資家の“失望売り”を加速させました。

また、株価の下落幅が大きかったため、信用取引を利用していた投資家の一部で追加証拠金(追い証)が発生し、損失覚悟の売りが出たことも下落に拍車をかけました。この株価乱高下は、現在の日本市場を牽引しているAI関連相場の危うさを象徴していると言えます。

日経平均株価の上昇は、少数の関連銘柄に対する短期投資家の資金集中によってもたらされている側面が強くなっています。売買の活況度の高い一部の銘柄だけが相場を引き上げており、ファンダメンタルズに基づく相場ではない、として警鐘を鳴らす見方も出ています。

今後は、供給制約によるコスト増が利益率を削り、投機筋の日本株買いの足かせとなる可能性もあるでしょう。半導体やAI関連は供給制約の影響が遅れて現れる特徴があり、いまはまだその影響が表面化していないだけで、存在しないわけではないからです。

フジクラの株価は今後どうなるのか?

フジクラの場合、株価の大幅な調整を経てもなお株価収益率(PER)は50倍前後という高水準にあり、同業他社の住友電気工業<5802>(約34倍)と比べても割高感が意識されやすい状況にあります。

一方で、その将来性に対して悲観的な見方ばかりではありません。株価が半値水準まで下落した後の5月22日には、現在の株価水準を割安と見た“押し目買い”が入り、株価は前日比11.8%高と大幅に反発しました。

アメリカのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によるデータセンター投資は今後も拡大が見込まれており、フジクラの経営陣も見通すとおり、光ファイバーの消費量が爆発的に増加するなど中長期的な需要環境は極めて良好です。

過剰な期待と現実のギャップ。株価再浮上の鍵は?
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