富裕国のみならず、グローバルサウスもターゲットに

その好循環は目を見張るスケールに達している。報告書によると、プログラム共有サイト「ハギングフェイス」では、アリババのAIモデル「Qwen(通義千問)」の派生モデルが10万件以上生まれている。

そのターゲット市場として、中国は富裕国だけでなく、グローバルサウスにも目を向けている。途上国では、中国のオープンなAI製品やサービスのほうが、閉鎖的で高くつく欧米のAIモデルよりも魅力的になるかもしれない。
 

このような動きはどれ1つとして偶然起きたわけではない。中国のAI産業奨励策は、きちんと効果が確認されている戦略をベースにしている。その筆頭は、15年に打ち出されたハイテク産業育成策「中国製造2025」だ。これが、電気自動車(EV)などグリーン技術における中国の急台頭を後押ししてきた。

同じようにAI分野でも、中国は国家主導で重要セクターに補助金を投入し、物的・知的資源を集約して、世界をリードしようとしている。米ブルッキングズ研究所中国研究センターのフェロー、カイル・チャンは次のように語る。

「中国は産業政策を通じてあらゆるレベルでAIを支援するアプローチを追求している。製造業、医療、バイオテクノロジー、教育、行政サービスなど幅広い領域を一気に加速させようというのだ。インターネットの台頭や、コンピューターや電力といった汎用的技術においても、中国は同じような戦略を取ってきた」

産業政策は機能する。そして、その教訓を中国は学んできたとチャンは言う。

中国ではAIの統制が緩んでいる
【関連記事】