<定番食品への上限価格設定を大手スーパーに申し入れた財務大臣に批判が集まっている>
[ロンドン発]レイチェル・リーブス英財務相がイラン戦争とホルムズ海峡封鎖、食品価格インフレから家庭を守るためとして大手スーパーにパン・牛乳・卵・バターなど約20品目の価格に上限を自主的に設けるよう要請したものの、業界の猛反発を受けアッという間に引っ込めた。
英紙フィナンシャル・タイムズ(5月19日付)によると、リーブス氏は強制的な価格上限ではなく小売業者との自主的合意を模索していた。その見返りに包装規制の緩和、健康食品の規制変更の延期を提示、小売業者が削減できたコストを食品価格の抑制に使う計画だった。
中東危機がエネルギー価格を押し上げ、サプライチェーンを圧迫していることから、スコットランドの地域政党・スコットランド民族党(SNP)は先の統一地方選で大手スーパーに牛乳・卵・チーズ・米など最大50品目の価格制限を義務付けることを約束している。
食料価格の上限は「長期的には持続可能なものではない」
SNPの食品価格上限案は生産者や小売業者との協議が不可欠。欧州連合(EU)離脱後もイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド間の貿易障壁や規制の乖離を防ぐため制定された英国国内市場法の改正が必要になるかもしれない。
SNPの狙いは常にイングランドの中央政府を「敵役」にして対立を煽ることだ。
SNPの案をそのまま後追いしたリーブス氏は国内農家の収入が損なわれないよう保証を求めていたとされる。計画が報じられると、小売業界や市場から「1970年代の価格統制への逆戻り」「ネオ・ソビエト的」と猛烈な反発が起きた。
英中央銀行・イングランド銀行総裁のアンドリュー・ベイリー総裁も下院財務委員会で食料価格上限案について「もしそれが当然のこととして行われるのであれば、コストに対する価格を人為的に操作することになり、長期的には持続可能なものではない」と否定的な見方を示した。