Julia Payne Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 20日 ロイター] - 欧州は中国への依存を減らし、採掘や加工への投資を促進するために、特殊金属やレアアース(希土類)に関する独自の価格設定システムを構築しなければならない――。欧州連合(EU)の欧州イノベーション・技術機構(EIT)の専門家、ベルント・シェーファー氏が20日ロイターにこうした見解を示した。

中国は重要鉱物のサプライチェーンを支配し、不透明な国内市場を通じて価格を決定している。そのため欧米の開発者は明確な指標がなく、投資判断が複雑化して欧州では既に高コストとなっているプロジェクトの遅れを招いている。

EUが2030年までに掲げる目標は、戦略的原材料の年間需要の少なくとも10%を域内で採掘し、単一の第三国への依存度を年間需要の65%以下に抑えるというものだ。

EITのテーマ別プログラムの1つ、EITローマテリアルズは先月、原材料取引のデジタルプラットフォーム企業メタルズハブと協力していることを明らかにした。域内における新たな鉱物の採掘、精製、リサイクルプロジェクトの革新を促進するための欧州独自の指標を作成することを目的としている。

シェーファー氏は、代表的な価格を含む指標の作成には時間がかかると述べた。この指標は、中国国外で取引される重要鉱物に対して、透明性の高い市場ベースの価格の目安を提供することを目指している。それにより投資家に収益性に関する明確なシグナルを与え、新規プロジェクトの資金調達を支える一助となる。

同氏は「私の理解では、原材料にもよるが、(中国以外での)取引量の最低10%以上が取引される必要がある。中国から得ている情報は代表的なものではなく、厳密なミクロ経済学的な観点から言えば『価格』ですらない」と指摘した。

さらに同氏は、この指標は欧州にとどまらず、米国、オーストラリア、カナダ、英国などの他の取引業者との協力を通じてより広範なものになり得ると付け加えた。

一方同氏は、取引量や成長予測に関する透明性のあるデータが不足しているため、EUが重要鉱物の多様化目標を達成できるかどうかを判断するのは難しいと言及した。

EUは昨年12月、域内のサプライチェーンの多様化を加速させ、中国への過度な依存を減らすため、30億ユーロ規模の行動計画「リソースEU」を発表した。

ただイタリア、フランス、ドイツが主導する試験的なEU共同備蓄を除いて、具体的な行動は遅れている。これらの国々が最初の備蓄対象として挙げるのはタングステンやガリウムを含む金属だ。

同氏は、域内での加工体制と透明性のある価格設定を構築しなければ、欧州は中国の指標に依存し続けるリスクがあり、新たに生産された原材料がそのまま中国のサプライチェーンに逆流してしまうことになると警告した。

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