Elizabeth Piper William James
[ロンドン 18日 ロイター] - スターマー英首相(労働党党首)の後任を選ぶ次期党首選が実施される場合に立候補すると表明したウェス・ストリーティング前英保健・社会福祉相は、英国の欧州連合(EU)再加盟を最優先の議題にする方針を示した。16日の演説では英国のEU離脱を「壊滅的な過ち」だったと断じ、「英国の未来は欧州とともにあり、いつの日か、いつの日かEUに復帰することにある」と訴えた。
ストリーティング氏がEU再加盟を争点に持ち出したことで、ナイジェル・ファラージ党首が率いる反EUの右派政党「リフォームUK」によりどころを与える可能性が出ている。スターマー氏が続投の意向を繰り返し表明しているにもかかわらず、予想されている党首選に向けた争いが激化している。
ストリーティング氏の発言に労働党内では動揺が走り、議員や同党関係者の間で意図をいぶかる向きも出ている。党幹部の1人は「国民が何年も前に置き去りにしたような周辺的な問題に、(ストリーティング氏は)なぜ自分を縛り付けるのか」と疑問を投げかけた。
一方、次期党首選の最有力候補になると見なされているグレーター・マンチェスター市長のアンディ・バーナム氏の支持者たちはストリーティング氏の動きについて、バーナム氏が議会下院議員の補欠選挙に勝利しにくくする策略に過ぎないと指摘した。党首選に立候補するには、下院議員であることが条件になっている。
EU復帰を持ち出したことは、2016年の国民投票で離脱を呼びかけたファラージ氏にとってある種の贈り物とも言える。グレーター・マンチェスター市の有権者は国民投票で離脱を選んでおり、ファラージ氏は市内のメイカーフィールド選挙区での補欠選挙に「あらゆる手段を尽くして挑む」と宣言している。
ファラージ氏は英大衆紙デーリー・エキスプレスに対して「スターマー氏が、私たちが無自覚のうちに欧州の機関へ引き戻そうとしていることは明らかだった」とし、「間近に迫ったメイカーフィールドでの選挙戦は、その戦いの火種となるだろう(中略)有権者は愚か者ではなく、国境開放を主張するバーナム氏には正直な姿勢が求められる」と発言した。
一方、バーナム氏は英ITVニュースに対し、補欠選挙でEU再加盟の是非を争点にすべきではないとして「長期的にはその可能性もあるが、今回の補欠選挙ではそれを主張するつもりはない」と説明。その上で「実際、私が言いたいのは、今は国内問題に焦点を当てるべきだということだ。英国は今この瞬間と、国民に影響を与えている問題にしっかりと集中しなければならない」と強調した。
労働党所属のジョナサン・ヒンダー議員は英公共放送BBCのラジオ番組で、ストリーティング氏のコメントが裏目に出て、同氏が党首選に出馬しても他の党所属議員たちが支持を撤回するきっかけになる可能性があると指摘。「現時点でEUへの再加盟を大々的に掲げ、それを選挙戦の柱にすることこそが国を統一する道だと考える人物を私が支持するはずがない」と訴えた。
世論調査によると、英国人の半分強がEUへの再加盟を支持している。ただ、EU域内での人の自由な移動や、通貨ユーロ導入の可能性などが提示された場合には支持率が低下する。