時価総額世界首位のエヌビディアが、AI向け半導体で業界をリードしつつも、あくまで半導体メーカーとしての立ち位置にとどまっているのに対し、アルファベットは検索、クラウド、動画共有サービス「YouTube」、自動運転「ウェイモ」といった多様な巨大事業を抱えています。

このような事業の多角化により、仮に一つの事業が不振に陥ったり、テック業界全体のAI関連投資が減速したりしても、他の事業で補うことができる、という極めて強固な競争優位性を構築しているのです。

■巨額投資の継続と資金調達の拡張

「AI革命はまだ初期段階」と見られており、今後のインフラ構築に向けた需要は依然として旺盛です。

アルファベットはこの機を逃さず、AIインフラの拡充に向けて攻撃的な投資姿勢を鮮明にしています。2026年の設備投資額を前年比でほぼ倍増させる計画で、2027年にも大幅に投資を増やす方針を表明しました。

これほどの巨額の資金需要を賄うため、アルファベットは資金調達市場の開拓にも積極的です。これまで米ドルやユーロ、英ポンドなどで社債を発行してきましたが、AI向けデータセンター投資資金を確保するため、新たに数千億円規模となる初の円建て社債の発行準備も進めています。

調達の裾野をさらに広げることで、巨額のAI投資を安定的に支える構えを見せているのです。

時価総額トップへの挑戦と死角

これらの一連の成功と期待を背景に、アルファベットの株価は力強い上昇軌道を描いています。

昨年10月末時点から今年5月上旬にかけて、エヌビディアの株価は6.3%の上昇にとどまったのに対し、アルファベットは43%もの急騰を見せました。5月18日時点の時価総額は4兆7900億ドル(約762兆円)に達し、世界首位であるエヌビディアの5兆3800億ドルに肉薄しています。

ただし、時価総額首位への道に死角がないわけではありません。急速な株価上昇により、アルファベットの予想PER(株価収益率)は30倍を超えて過去10年平均を大きく上回り、2008年以降で最高水準となっています。そのため、今後は割高感が意識される可能性もあります。

今後の株価を左右する逆風と危うい構造(株価チャート)
【関連記事】