市場を裏切った「強い決算」
こうした流れを大きく変えたのが、5月8日に発表された2026年9月期の中間決算です。上期(2025年10月~2026年3月)の営業利益は前年同期比で43.7%増。第2四半期(1月〜3月)だけを見ても46.8%増と、市場予想を上回る強い内容となりました。
特に市場が驚いたのは海外事業です。海外スシロー事業の営業利益は、第2四半期に前年同期比92.8%増となり、営業利益率も16.6%まで改善(数値は決算説明資料ベース)。海外事業全体が市場想定を上回りました。
なかでも中国事業の強さに、市場は大きく裏切られることになりました。つまり、少なくとも現時点では「中国失速」のシナリオは現実化していなかったのです。
加えて会社は、通期業績予想の上方修正と増配、そして1:2の株式分割(6月末に実施予定)を発表。グロース株にとって株式分割は、単に形式上の話ではありません。値がさ株が買いやすくなり、新NISA勢を含めた個人投資家の流入期待が生まれることを意味します。
さらに投資家心理を押し上げたのが、今秋に予定されるニューヨーク1号店です。これまでスシロー株は「中国関連株」という見方が強かったものの、北米展開が本格化すれば、評価軸そのものが変わる可能性があるのです。
◾️「価値あるもの」に需要が集まり始めた中国市場
決算説明会で会社は、中国では現在も多くの商業施設から出店要請を受けていると説明しました。
また、「景気は鈍化しているが、高いものではなく“価値のあるもの”へのニーズが高まっている」といった認識も示しています。節約志向が高まる一方、足元では単純な低価格だけではなく「価格以上の満足感」を求め始めているのです。
スシローは、単なる低価格の寿司チェーンとしてではなく、品質や接客、店舗運営などを強化し、海外でも「日本のスシローらしい心地よい体験」ができる「スシローブランド」を浸透させようとしています。ロゴの刷新も、その姿勢を示す一つの動きといえます。
「持続的な成長という期待に応えられる強固な体制をこの上期で少し作ることができた」という説明のとおり、会社は、中国市場での中長期の成長には依然として自信を崩していません。