Tamiyuki Kihara Yoshifumi Takemoto

[東京 15日 ロイター] - 世界的な注目を集める米中首脳会談は15日、2日目の日程に入った。日本の政府・与党内には前日の会談内容を分析する動きが広がる。両首脳が経済関係で成果を掲げている点を歓迎する見方がある一方で、台湾問題をめぐる中国側の発信に警戒を強める声も出ている。トランプ米大統領は同日午後、北京を発つ予定で、高市早苗首相は早期の日米首脳電話会談を模索している。

<「良い意味でノーサプライズだ」>

「米中の経済関係が良好に進むことは世界経済にとってポジティブだ」。ある経済官庁幹部は15日、ロイターの取材にこう述べた。米国が公表した14日の会談内容に関する要約によると、習近平国家主席は中国の中東産原油への依存を低減させるため、米国産原油をさらに購入することに関心を示した。トランプ氏は米FOXニュースに、中国がボーイング機200機を発注することに合意したとも明かした。中国による米商用航空機の購入は約10年ぶりとなる。

中国外務省は習氏がトランプ氏に対し、13日に行われた米中の貿易交渉団による予備協議が「均衡の取れた前向きな結果」に達したと評価したと発表した。トランプ氏も15日、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、米中関係が「これまで以上に強固で良好なものになる」ことを期待すると投稿した。

こうした両首脳の「成果」を念頭に、前出の経済官庁幹部は「今回は米中ともに経済が主要テーマだった。良い意味でノーサプライズだ」と指摘。「安全保障問題について、米国は戦略的に議題から切り離していた」と分析した上で、「日本国内には台湾問題について米国が譲歩することを危惧する向きもあったが、米国は中国に譲歩もしていないし、習氏の顔をつぶすようなことも言っていないだろう」と語った。

<「日本にとって厳しい時代が到来」>

ただ、その台湾問題について米中の発信には温度差がある。中国国営の新華社通信は14日、会談終了後すぐに、習氏が「台湾問題は中米関係の中で最も重要な問題である。適切に対処できれば、両国関係は全体的な安定を保つことができる。対処を誤れば、両国は摩擦を生じ、さらには衝突に至り、中米関係全体を非常に危険な状況に追い込むことになる」とトランプ氏をけん制したと報じた。一方、米側が公表した要旨には、台湾問題が議題になったか否かは盛り込まれなかった。

自民党の政務三役経験者は「米中の発表内容を見ると、それぞれ言いたいことしか言っていない」と指摘しつつ、それぞれが矛盾する内容にはなっていない点を挙げ、「トランプ氏が中国側の主張に納得したからこそ、双方の発表内容をすり合わせることができたのだろう。会談は相当順調に議論が進んだとみるべきだ」と述べた。一方で、世界が中東情勢に翻弄される中、習氏が台湾を「最も重要な問題」と表現した点に着目し、「日本にとって厳しい時代が到来したと覚悟するべきだ」とも述べた。

一方、閣僚経験がある自民党衆院議員は「トランプ氏は台湾について習氏に言質を取らせるような発言はしていないだろう」と見た上で、「台湾の半導体産業に与える影響など様々なコストを考えれば、中国にとっても武力併合ではなく香港やマカオのように取り込んでいく方が得策だ。トランプ氏もその点は分かっているはずで、習氏の主張を否定せず、阿吽の呼吸で話がまとまったのではないか」と推測した。

<「中国には立場にふさわしい責任を」>

トランプ氏に同行しているルビオ国務長官はNBCニュースに対し、首脳会談で台湾問題が取り上げられたことを認めた上で「中国は常にこの問題を提起する。われわれは常に自国の立場を明確にした上で、他の議題へと移る」とし、「台湾を巡る米国の政策は現時点でも変わっていない」と述べた。トランプ氏は14日、世界遺産の天壇で習氏と並んで写真撮影に応じた際、台湾について議論したのかとの記者団からの質問に、何も答えなかった。

木原稔官房長官は15日午前の記者会見で、米中首脳会談のやり取りについて情報収集を進めているとし、「引き続き同盟国たる米国との強固な信頼関係の下、中国に対してその立場にふさわしい責任を果たしていくように働きかけていくことが重要だ」と述べた。

(鬼原民幸、竹本能文 編集:久保信博)

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