イラン戦争の勝者は?
こうした混乱から、何か新たな秩序が生まれてくるのだろうか? まだ答えは見えないが、現時点でもこれだけは言える。今度の戦争の勝者はイスラエルでもアメリカでもなく、中国とイランだろうと。中国がこの地域で、和平の仲介に乗り出そうとしている点も見逃せない。
今回の戦争で、湾岸諸国はイランからの攻撃を防げなかった。しかし一方で、これら諸国には話し合いでイランと共存してきた歴史がある。そうであれば、イスラエルとアメリカにとっては悪夢の展開もあり得る。勝ち誇ったイランがこの地域の経済的覇権を握り、中国やロシアと並んで湾岸諸国の安全と資源を守る役割を担うというシナリオだ。
今回の戦争から政治と経済の新たな秩序が生まれるかどうかは戦争の継続期間次第だという見方もあるが、おそらくそれは間違いだ。戦争が短期で終われば、イランは間違いなく勝者と見なされ、世界秩序はそれに応じて再編される。仮に長引いても、イランが軍事的にも経済的にも、アメリカやイスラエルの想像を超える大国であったことは明白になる。
さらに、どちらに転んでも中国は利益を得る立場にある。この紛争によって、中国の経済力と「責任ある世界的大国」としての地位は強化されたからだ。
一方で西側陣営は引き裂かれている。イギリスとドイツ、フランスはイラン戦争への関与を拒み、EUの首脳たちは軍事的勝利よりも交渉による解決の必要性を強調している。そして中東地域に安定をもたらすには別の、アメリカ抜きの枠組みが必要だという確信を深めている。
次のページ