衛生用品もなしに暮らしている赤ちゃんも
ヘルソン州の10世帯ほどが暮らす小さな村を訪れた時のこと。何カ月にもわたってロシア軍に占領され、3日前に解放されたばかりというこの村に、全壊と言っていい状態の家があった。家はまだくすぶって煙を上げていた。
クルシクたちが心配になって車を止め、敷地に入ると、3人の幼い子供たちが家の地下室から飛び出してきた。厳寒の中、子供たちは薄っぺらいTシャツに室内履きといういでたちだった。
村に援助の手は届いておらず子供たちがまず欲しがったのは暖かい衣類だった。幸いにも、クルシクたちは靴下と上着、それに食べ物や医療用品を持っていた。母親は泣きながら姿を現した。撤退するロシア軍が手当たり次第に略奪を行ったせいで、家族の元には何も残っていなかった。
「ヘルソン州で子供を助けたのはあれが初めての経験だった」とクルシクは言う。「子供たちがあんなにうれしそうな表情をするのを見るのも、あれが初めてだった」
ウエットティッシュやおむつといった、普通の暮らしをしていれば当たり前に使っているような品物を、人々は大喜びで受け取る。
「交戦地帯で基本的な衛生用品もなしに暮らしている赤ちゃんもいる」とクルシクは言う。
「うちの子供たちも停電やいろんなつらい状況を耐えて暮らしているが、これほどの極限状況に置かれているわけではない。人々の苦しみやつらい状況を目にすると、続けなければという気持ちになる」
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