社会矛盾を「海外勢力」に責任転嫁

寝そべり現象を「海外の敵対勢力によるイデオロギー工作」と位置付けることで、中国政府は失政を隠蔽し、社会矛盾を「海外勢力」に責任転嫁できる。それだけでなく、社会への不満や愚痴をネット上に書き込む行為を、「反中国勢力の陰謀」として削除・アカウント停止できる。

中国には「だまされて売られているとも知らず、相手のためにその金を数える(被卖了还帮忙数钱)」という俗語がある。政府のこの言説を疑いもせずに支持する愛国者たちこそ、現代中国社会の悲劇の根源だ。寝そべり現象を「反中勢力の陰謀」と定義しても、若者の絶望的な状況は何一つ改善しない。

ポイント

国家安全省
中国の情報機関。1983年設立。国務院に所属し、暗号通信を管理する第1局や台湾担当の第4局、外国スパイを追う第8局など計17局で構成。直轄市に国家安全局を、各省に国家安全庁を置く。

内巻
中国語で「ネイチュアン」。英語の社会学用語「インボリューション(involution)」の訳語。インドネシアの農村研究に由来し「停滞から生じる有限な資源の奪い合い」の意味に転用された。
 

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 世界宗教入門
2026年5月19日号(5月12日発売)は「中東新秩序の勝者」特集。

剛腕首相ネタニヤフが図ったアラブとイランの弱体化で、中東に訪れる新時代

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます