Rie Ishiguro Yoshifumi Takemoto
[東京 23日 ロイター] - 日本政府は、アジア系ファンドのMBKパートナーズによる牧野フライス製作所の買収に中止勧告を出した。牧野フの工作機械が日本の防衛装備の製造などに使われていることなどから、安全保障上の懸念があると判断した。MBKは23日、「大きな驚きをもって受け止めている」とのコメントを発表し、応じるかどうか5月1日までに政府へ通知するとした。
財務省と経産省が外為法に基づき、22日付で中止勧告を出した。片山さつき財務相は23日午前の参議院財政金融委員会で、「牧野フライス製作所は世界有数の工作機械を製造する企業であり、我が国防衛装備品の製造事業者に広く利用されている」などと判断の理由を説明。「国の安全の確保等にかかる生産基盤及び技術基盤の維持に与える影響の程度、国の安全の確保等にかかる技術または情報が流出する可能性等を考慮して審査した」と述べた。
工作機械の技術は、安全保障の観点から外国資本を規制する「コア業種」に当たる。外為法は、海外の企業や投資家が日本の安全に関わる重要事業を行う企業の株式を一定以上取得する場合、政府の事前審査を受けるように定めている。安全保障の環境が変化する中、政府は防衛産業の基盤強化を進めており、21日には国内防衛企業の市場を海外へ広げることなどを目的に武器輸出の規制を緩和した。
MBKは2025年6月に牧野フに対する株式公開買い付け(TOB)を発表した。買い付け価格は1株1万1751円で、完全子会社化を目指して同年12月上旬ごろをめどに買い付け開始するとしていたが、各国当局の審査に時間がかかっていた。米国や中国、イタリアなど諸外国の承認を得たものの、日本の審査が完了していなかった。MBKは承認をすべて得た上で、今年6月下旬にTOBを開始することを見込んでいた。
牧野フはロイターの取材に「(上場維持の選択肢を含め)企業価値向上と株主価値の最大化のために何が最適か、いろいろな選択肢を考えなくてはならない」(経営企画部社長室)とコメントした。MBKとは直接やり取りはなく、アドバイザーを通じて情報を得ているとした。
牧野フを巡っては、ニデックが25年にTOBを計画したものの、牧野フは買収対抗策を発動。ニデックは同年5月に撤回を表明した。牧野フはその後、MBKから法的拘束力のある買収提案を受領した。