せっかく米トランプ政権の副大統領J・D・バンスが応援に駆け付けたのに、ハンガリーの首相オルバン・ビクトルは惨敗した。4月12日投開票の総選挙で圧勝したのは、若きマジャル・ペーテル(45)率いる新党ティサだった。
投票率は80%近くに達し、ティサは一院制の議会で絶対多数を獲得した。アメリカのドナルド・トランプにもロシアのウラジーミル・プーチンにも愛され、EUやウクライナからは嫌われていたオルバン政権を、今度の選挙でハンガリー国民が見限ったのは間違いない。
これでオルバンは去る。ただし、ロシアもおとなしく去ると考えるのは間違いだ。そのことは、すぐにマジャルも思い知らされるはずだ。
マジャル自身は中道右派だが、リベラル派や親EU派がオルバン打倒に動いたのは当然だった。オルバンはプーチンに従順で、ロシアがEU内部に送り込んだ破壊工作員に等しかったからだ。
選挙に勝ったマジャルは、ハンガリーを親EU路線に引き戻すと約束している。なにしろEUにとってオルバン時代のハンガリーは、とりわけウクライナ支援の問題などで厄介な存在だった。
2027年末までにロシア産天然ガスの輸入をやめるという欧州委員会の方針に、ハンガリーが反対するのは確実だった。ウクライナの防衛と復興に充てる総額900億ユーロの緊急融資計画にも、オルバンは最後まで抵抗していた。
だからリベラル派は、今回の選挙でハンガリー国民はプーチンのロシアよりも欧州を選んだと解釈している。そしてオルバンが去れば、厄介者のロシアも去るはずだと。
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