「偏り」こそが人間の個性

例えば、「いい会社に入るためにはどうすればいいですか?」とAIに聞いたら、「いっぱい勉強して、いい大学に入って、就職活動を頑張りましょう」といったふうに答えるんですが、それは誰でも知っているじゃないですか。

正解が必要な時にはAIは便利なんですけど、むしろ面白い間違いみたいなものの方が僕は興味があります。ただ、それも今後AIが出せるようになる可能性はあるんですが、その人間の人生や生き方が載っているからこそ面白いのかな、というところもあるというか。

叩き上げで小さい会社から独立して自分の会社を大きくした人が「いい会社になんか入っても意味ないよ」と言ったら、それは面白いじゃないですか。その人の人生が載っかった言葉だから。その人独自の思想の偏りみたいなものが面白さなのかなと思いますね。


――『斜め45度の処世術』はまさに小川さんなりの偏りが詰まっていてとても面白いですね。

斜め45度の処世術を手にする小川哲氏

AI関係なく、僕は人間が面白いと思うことって「偏り」だと思っているので、自分がどこで偏っているのか、常に考えながら書いていますね。

――偏りって教育などにおいても大事ですよね。

そうですね、それこそが個性とか、作家の場合は作風とか言われるものなのではないかと思います。いつも正しいことや正解しか言わない人間ってつまらないじゃないですか。

AIを活用して話が面白い人間になる

――また一方で、他にAIのいい活用法はありますか?

僕の周りの小説家の人には、その日あった出来事をAIに話して話をまとめたりしている人もいるので、それは書き方や話し方の練習にいいかもしれないですね。

「今日なんか変なことがあったな」とか、「面白いことがあったな」というときに、まずAIに報告してみる。それでAIが何か誤解したりしている場合、自分の話し方や書き方が悪くて伝わっていないことがわかりますよね。そこで言い方や言葉選びを変えて話しかけてみるとか。

――それはいいですね。友人にも言えないような話をまずAIにして、話していいかどうかを確認したりもできますし。

そうですね、そこで構成も整えておいたりして。どこから話すかとか、この話は余計だなとか、修正するのもいいんじゃないですかね。

AIの存在が人間の価値を浮き彫りにする
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