それ自体は人として当然のことなのだけれど、自分でどうにもできない問題に対して必要以上に心傷めてしまうと、SNSだけでなく世の中自体が本当に辛くなってしまいます。
だから、あえて突き放すような、ある種の冷たさみたいなものが必要なときもあると思います。さまざまな情報が入ってくる現代では、そういうものがない繊細な人ほど損する時代になってしまっている。そういった状況自体がよくないけれど、そうなってしまっていますよね。

自分ができることに目をむける
――何かしらの線引きをするということが重要なのでしょうね。小川さんは「ここからは自分の問題ではない」と線引きをすることはありますか?
僕の場合は小説家という職業柄、「自分の問題ではない」と思うことはなくて、世の中で起こっていることは全部自分の問題でもあるんです。ただ、自分が心を傷めた問題や出来事に対して、「僕だけにしかできないやり方で何かを語れるか」というのが僕にとっては大事ですね。
僕にしかできないやり方で語れることが見つかれば、それは小説になっていくだろうし、それがないと僕がいくら心を傷めたところで、誰かが言っていることと同じことしか言えないから、作品にする価値はないなと考えます。
――それは一般の人に置き換えると、「自分なりの意見が持てるか」ということが基準になりそうですね。
僕がなぜ「僕だけにしかできないやり方で語れるか」を基準にしているかというと、それによって僕がその出来事に関われるからなんですよね。作品という形で関われるから、それが線引きになっている。
だから、小説家以外の人であれば、自分がその問題や出来事に対して何ができるか、具体的にアクションが取れるかどうかが一つの基準になると思います。
例えば出版社で問題が起きた時に、自分の会社で同様の問題がないか改めて確認してみたり、自分と取引先の関係性に置き換えて考えてみるなどの具体的なアクションに繋げられるかということです。
本当に自分の力ではどうしようもない問題に対して必要以上に考えると、その人自身の人生や幸福が損なわれてしまいます。
人生の価値を自分で決める
――自分の能力やキャパシティを見極めるのも重要なのかもしれないですね。
ただ、自分が何もできていないとネガティブに捉える必要もなくて。みんなそれぞれ自分の人生の中で、自分が一番フォーカスしたい問題に目を向けるのが重要だと思います。
――そのためにも無理にSNSをやらないとか、人と無理してまでコミュニケーションを取らないで、自分の問題に向き合っていくのがいいのでしょうか?
それが一番の幸福ですよね。他の人のことを気にしないで、自分の人生の価値を自分で決められるというのが一番理想的な状態です。それがなかなかできないからSNSを見ちゃうんだと思いますが。
