2024年に、『どうすればよかったか?』が大きな話題を呼んだ。藤野知明監督が、統合失調症を発症した姉、そして両親のことを20年にわたって記録し続けたドキュメンタリー映画だ。

【予告編を見る】大きな話題を呼んだ映画『どうすればよかったか?』『どうすればよかったか?』

先ごろ書籍化された『どうすればよかったか?』(藤野知明・著、文藝春秋)は、著者の言葉を借りるなら「映像では伝えられなかった部分を文字に」した作品である。

基本的には時系列で話が進んでいくが、その前段階として書かれた冒頭部分がやはり強烈な印象を残す。著者の8歳年上の姉に、統合失調症の最初の急性症状が現れたときの描写だ。

  私が高校二年生になった一九八三年の五月のことです。夕食を終えていつものように布団に入ると、当時二十四歳だった姉が突然叫び声を上げました。
 とても大きな声でした。姉のうわ言のような叫び声は止まらなくて、隣室にいた私は飛び起きるとすぐに母と相談し、救急車を呼ぶことにしました。
 けれどもどこに連れて行くかが問題で、母は単身赴任中の父に電話で相談しました。医師でもある父は知人がやっている精神科の病院に連れて行くように指示をしました。(12ページより)

そして翌日、父親が姉を病院から連れ戻してきた。その際には、精神科の先生が「(姉は)全く問題ない。むしろ精神病院に入院すると心の傷になる」と言ったと、著者に説明したのだという。

しかし著者は、その説明に違和感を覚える。医師ではなく、統合失調症と診断された人と接したこともなかったため反論もできなかったが、それでも「その説明には無理があるのでは?」という疑念が湧いてきたのだ。

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常に姉に関する何かが起こり、解決するわけでもなかった
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