[フランクフルト 9日 ロイター] - 米イスラエルとイランの交戦によるエネルギー高騰を受けたインフレ再燃への懸念が広がる中、金融市場では9日、⁠欧州中央銀行(ECB)、スイス国立銀行(中央銀行)、スウェーデン中央銀行による年内の利上げ観測が強まった。イングランド銀行(英中銀)は2027年に利上げに転換すると見込まれている。

主要産油国による供⁠給減や輸送混乱が長期化することへの懸念から、原油先物は一時、1バレル=119ドルを超え、22年半ば以来の高水⁠準を付けた。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けたエネルギーショックの際は、消費者物価全般に急速に波及し、欧州の多くの中銀は対応で遅れを取った。ピクテ・ウェルス・マネジメントのマクロ経済調査責任者フレデリック・デュクロゼ氏は当局者の間で「⁠サプライチェーン(供給網)全体に波及する新たな供給ショックへの懸念が広がる」との見方を⁠示し⁠た。

金融市場では、ECBは今年6月か7月までに1回、さらに12月までにもう1回利上げすると見られている。スウェーデン中銀は今年の秋に1、2回、スイス中銀は今年10月と27年にそれぞれ利上げすると見込まれている。英中銀を含む4行はいずれも次回会合を今月18─19日に開催するが、即座に政策金利を変更するとは見込⁠まれていない。

ECB当局者などはこれまで、イラン交戦に伴う一時的な原油価格上昇は中期的なインフレ見通しを大きく変えることはなく、政策対応も不要だと強調してきた。ただ、TSロンバードの分析によると、原油・ガス価格が現状水準で持続して推移した場合、ユーロ圏のインフレ率は約1%ポイント上昇すると推計。燃料価格の上昇は輸送費や製造コストの押し上げなど⁠経済全体に波及する恐れがある。

UBSのエコノミスト、ラインハルト・クルス氏は「最近のエネルギー価格の動きと二次的影響のリスクを踏まえると、ECBが利上げを前倒しせざるを得ないかもしれない」と指摘した。一方で、複数のエコノミストからは、足元の市場の動きは影響を先読みしすぎているとの見方もある。

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