Parisa Hafezi
[ドバイ/エルサレム 9日 ロイター] - イランは9日、死亡したハメネイ師の後継となる新たな最高指導者に次男のモジタバ・ハメネイ師を選出した。米国・イスラエルとの紛争が始まって1週間が過ぎる中、イランで強硬派が依然として確固たる実権を握っていることを示唆した。また、紛争拡大を受けて原油先物価格が1バレル=100ドルを突破した。
モジタバ師はイランの治安部隊内で影響力を持ち、父親の下で広大なビジネスネットワークを築いた聖職者。最高指導者の選出を担う88人の聖職者からなる「専門家会議」の投票に先立ち、最有力候補と目されていた。
専門家会議は現地時間深夜0時過ぎに発表した声明で、「専門家会議は決定的な投票により、モジタバ師をイランの神聖な体制における第3代指導者に任命した」と述べた。
ペゼシュキアン大統領は新たな最高指導者選出について、国家の結束を強化するという意志の表明だと述べた。
モジタバ師は最高指導者として、国政のあらゆる問題について最終決定権を持つことになる。
同師の任命は、次期指導者選出への関与を主張していたトランプ米大統領の反発を招く可能性がある。トランプ氏は8日、米国が人選に発言権を持つべきだとし、米国の承認を得なければ、その人物は長くは続かないだろうと、ABCニュースに語っていた。イスラエルもイランの発表に先立ち、誰が選ばれたとしても標的にすると警告していた。
<原油価格が1バレル=100ドル突破>
紛争拡大は原油取引に深刻な影響を及ぼしており、生活コスト上昇に懸念が高まる中、9日のアジア市場では株式先物が下落している。
米WTI原油先物価格は序盤の取引で一時22%超高の1バレル=111.24ドルを付け、2022年7月以来の高値を付けた。供給逼迫やホルムズ海峡を通じた原油輸送の長期的混乱への懸念が背景にある。北海ブレント先物は一時17%高の108.73ドルに上昇した。前週は28%急騰していた。
米国株式市場ではS&P500種先物が1.6%安、ナスダック先物が1.7%安となった。
トランプ氏は交流サイトへの投稿で、原油価格について「イランの核を巡る脅威の破壊が終われば急落する」と述べ、価格上昇は「米国と世界の安全と平和のために払う極めて小さな代償だ」と主張した。
<イランの抵抗>
イラン国営メディアは軍指導部がモジタバ師に忠誠を誓ったと伝え、イスラム革命防衛隊は声明で、新最高指導者に従う用意があると表明した。
最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は国営テレビで、専門家会議は標的になるという警告にもかかわらず、新最高指導者を選出する会合を8日に開いたと説明。現在の状況下でモジタバ師は国を率いることができると述べ、新指導者の下で団結するよう呼びかけた。
一方、イスラエルはイラン高官を引き続き標的にしており、新たに最高指導者軍事局長に任命されたアボルガセム・ババイアン氏が7日の攻撃で死亡したと発表した。
テヘラン市民によると、攻撃開始から9日目となる8日も大規模な空爆は続き、上空には濃い黒煙が漂ったという。イラン外務省報道官は、燃料貯蔵庫が標的にされたとし、有害物質が大気中に放出されたとXに投稿。こうした攻撃は紛争の「危険な新たな局面」で、戦争犯罪に相当すると述べた。
イスラエル軍報道官は、これらの補給施設は弾道ミサイルの燃料など戦争活動に利用されているとし、「合法的な軍事目標だ」と述べた。