Takahiko Wada
[東京 4日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は4日午後の衆議院財務金融委員会で、中東情勢の影響を引き続き注視するとした上で、経済・物価情勢が改善し、日銀の中心的見通しが実現するなら引き続き政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整すると述べた。
植田総裁は、中東情勢の展開次第でエネルギー価格や金融市場への影響を介して「世界経済や日本経済に大きな影響を与える可能性がある」と述べた。一般論として、原油価格の上昇は交易条件の悪化を通じて景気や基調的な物価には下押し圧力となる可能性がある一方で、上昇が続くと家計や企業の中長期的な予想インフレ率の上昇につながる可能性があり、基調的な物価上昇率を押し上げる可能性があるとした。
一方、2%物価目標の持続的・安定的な実現のためには賃金も相応の伸びが必要だと述べた。今年の春闘については、幅広い企業で「しっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」と述べ、実質賃金の前年比は徐々にプラスに転じていくとの見通しを示した。
ただ、日銀としては賃金に直接働きかける手段を持っていないため、「インフレ率の上昇の中で、賃金も上昇していく状態を作り出したい」とし、「実質賃金の上昇率を金融政策の目標にするのはなかなか難しい」と述べた。
植田総裁は、為替円安が現在から将来の物価に与える影響を「注意を払って見ている」と指摘。足元では円安によるコスト上昇分が物価に転嫁される率が高まっているとし、円安の物価目標への影響についてさまざまな分析をしながら適切な政策を行っていきたいと述べた。
長期金利については、先行き2%物価目標の達成確度に応じて日銀が短期金利を引き上げていけば「長期金利も整合的な形で安定的に形成されていく」ものの、適切なペースで短期金利が調整されずに物価の上振れの可能性を市場が認識すれば長期金利も上振れるリスクがあると指摘した。「長期金利が安定的に形成されるよう、経済・物価に対する見方や金融政策運営の考え方について、市場との間で丁寧なコミュニケーションに努めていきたい」と語った。
2月16日の高市早苗首相と会談した際、高市首相が利上げに「難色を示した」とする一部報道については、会談では経済・金融情勢について「一般的な意見交換をした」と説明した。