江南にあるスーパーの生理用品売り場
江南にあるスーパーの生理用品売り場 (撮影=筆者)

外国と比べて39.6%高い韓国の生理用品

無償支給のきっかけは今年1月20日の閣議だった。韓国市民団体「女性環境連帯」の調査によると生理用品1枚当たりの平均価格は諸外国と比べて39.6%高額で、報告を受けた大統領は性平等家族部長官に無償供給の検討を指示した。

高額な理由はメーカーの寡占と安全性問題にあるという。2017年、生理用ナプキンを使用した女性が相次いで体調不良を訴えた。食品医薬品安全処(米国のFDAに相当)は、国内で流通していた生理用ナプキンやオムツなどの検査を実施し、有害成分は検出されたが、人体に有害な影響を与える水準ではないと発表。国民から不信の声が上がるなか、各メーカーは「安全性」を謳った高価格なオーガニック製品を相次いで投入。市場の寡占化と相まって価格の高止まりが続いている。公正取引委員会は現在、大手3社の価格談合の疑いなどについて調査を進めているという。

今年、政府が行った調査で、年齢や所得に関係ない普遍的支援への賛成意見が71%、購入費負担を求める声が69%、公共施設への無償設置を求める声が61%に上った。補助金を支給する案も検討されたが、金銭補助では価格を下げる企業努力が行われず、むしろ価格上昇など「ぼったくりを助けることになる」という批判が出た。このような議論を経て最終的に公共施設での現物支給が採用された。

きっかけは10年前の"中敷き"ナプキン

韓国の生理用品支援は2016年に遡る。低所得層の子どもたちが生理用ナプキンを買うお金に困って靴の中敷きで代用していることが明らかになり、大きな衝撃が広がった。

学校保健室での配布や低所得層の女子に商品券を配布する案などが浮上するなか、ソウル市は16年6月、10歳から19歳の低所得層に対する無償支援を開始した。まずは「少女ケア薬局」など850カ所の施設に生理用品を備えて少女たちが利用できるようにした。「少女ケア薬局」は市薬剤師会に所属する女性薬剤師が家出や貧困など脆弱な立場の10代女性に健康相談や一般医薬品、処方薬などを支援する薬局である。

市は続いて国民基礎生活受給者の少女2万7279人を対象にインターネットや郵便で申請し、居住地に配送する制度を採用。受給者が劣等感や羞恥心を感じることなく利用できる仕組みが取られた。

18年10月からは年齢や所得を問わない無償支給を開始した。誰でも自由に使えるようにすると必要以上に持っていく人たちが現れる懸念があり、ソウル図書館や市立科学館、市立美術館など市内10カ所の公共施設のトイレに無料ナプキン販売機を設置する方式が採用された。各施設の案内デスクでコインを受け取り、投入口に入れて利用する。必要な人が利用できる仕組みである。

ソウル市の現物支給に対して、京畿道は支援金制度を導入した。李在明大統領が知事在任当時の2021年から道内に居住する満11歳から18歳の女性に月1万1000ウォン、年13万2000ウォンを域内限定のデビットカードで支給している。24年には支給対象を外国人にも拡大した。

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