身近な人々の安全が最優先
ファルハングは少なくとも一点、異議があると言う。今後イランの政治体制がどうなろうと、弾道ミサイルを手放してはならないというのだ。「それがわが国の防衛の要だ」
政治的な信念と戦争の現実の板挟みになっている人たちもいる。モフセンは体制変革を支持しているが、現状では複雑な気持ちだと打ち明けた。「人々が死んでいるんだ......近所の人たちが殺されているのに、国家に盾突くなんて。そんなことをしたら親に勘当される」
セタレは昨年末に始まった大規模な反政府デモに参加したが、今の状況についてはモフセンと同様の立場だ。現体制には反対だと断って、彼女は言う。「でも今はアメリカとイスラエルが同胞を殺しているのよ」
イラン国内の政治的な闘いはイランの人々が自ら決着をつけるべきだと、セタレは主張する。
彼女に言わせれば、イランとアメリカの「因縁のにらみ合い」が始まったのは73年前のこと。石油の国有化を進めたモハマド・モサデグ首相(当時)が失脚したクーデターにさかのぼる。この政変にはアメリカとイギリスが関与していた。その後イランはイスラム革命が起きるまで親米派の国王の専制支配下に置かれたが、今では外国在住のイラン人の一部はなんと王政復古を支持していると、彼女はあきれ顔だ。
「王政でもいいのよ......憲法に従うのなら」。欧米の言いなりになる国王では困るというのだ。
長年トルコで暮らしてきたジャーナリストのアミルは戦闘が激化するなか、先週帰国した。イデオロギー的な理由ではない。「家族や近所の人たちのそばにいるべきだと思ったんだ」。両親と生まれ育った街の人々が無事でいてくれること。今の自分にはそれが一番だと、彼は言う。