ホメイニの精神を思い起こす
だが開戦から1カ月たっても、イランの現体制は崩壊の兆しを見せず、イスラエルとアメリカが期待していた市民の蜂起も起きていない。
疑いもなく、多くのイラン人は今も現体制に批判的だ。ただ、ミサイルが飛んでくる状況で、人々が通りに出て反政府デモを繰り広げるとは考えにくい。一方で、イランから失われていた「何か」が戦争でよみがえった兆しは明らかだ。
一部地区では、毎日のように集会が開かれ、住民たちがイランの国旗を振って通りを練り歩く。なかには子供をおぶった若い親たちもいる。ゾレもその1人。夫と1人息子と共に集会に参加している。戦争の勃発で革命の精神を思い起こしたというのだ。
「この国の指導層は長年、現実主義と外交重視に引っ張られすぎていた。それはホメイニ師の精神とは違う」と、彼女は言う。イラン革命を率いた元最高指導者のルホラ・ホメイニが亡くなったのは1989年で、ゾレはまだ生まれていなかった。「でもその教えは受け継がれ、私たちの心に刻まれている」
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