自分の経験に基づいて話そう。今年1月13日、奈良市内で高市首相と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領による日韓首脳会談が行われた。
その後に共同記者発表があり、その場にいた私はフランスのラジオ局の特派員として興味深い内容だと判断し、リポートしたいと編集部にメールで提案した。
最初は「国際ニュースが多いから、難しい」という返事だった。それが数時間後、編集部から「高市首相と李大統領のドラム演奏はすごく面白いから、報道しましょうか」とメールが来た。多くのフランスのマスコミが報じていたからだ。
私は「これはやばい」と思い、「何か現地報告をするなら、日韓首脳会談の成果を中心にしたい」と答えたが結局、放送の枠がなくてキャンセルされてしまった。
このエピソードは象徴的だ。重要な首脳会談の際に「面白い場面」をつくると、SNSもマスコミもその映像や写真を配信するので、もっと重要な内容よりもそちらが話題になる。
多くの人が何を見たがったり、話題にしたりするかというと、やはりバズった内容だ。つまり首脳が意外な行動や発言をしすぎると、発信したい政治的なメッセージが伝わらなくなってしまう。
個人的には、話題性のある発言や行動を大きく報道するマスコミが間違っていると思う。だが残念なことに、そういった報道のトレンドは将来も変わらないだろう。SNSの影響が大きいからだ。つまり大手マスコミは「SNS化」しつつある。政治家は自分の政治的なメッセージを、自分の行動で崩壊させないように注意すべきだ。