人生は「この親からしか生まれられない」という必然
分からないことが出てくるたびに何度か、「今は理解できないかもしれないけれど、時間を置いてから読み直してみよう」と思わせられた。つまり、ちょっとばかりこちらを突き放すようでありながら、微妙に知的好奇心を刺激してくるようなニュアンスが備わっている。
だから私は本書を、おそらくこの先も何度か読むことになるだろう。
前置きが長くなってしまったが、なかでも響いたのは「親子という難しい関係」という項目だった。私自身が親――とりわけ母親――との関係性にについて悩み続けながら生きてきたからかもしれないが、なにかと共感できることが多かったのである。
親との関係が子の人間としてのあり方に強く影響するのは事実だから、それが問題含みであった場合には、そのことを考え抜き、正確な認識をもつことは必要だろう。また、その結果として、親ときっぱりとした距離をとる、あるいは適切なバウンダリー(心理的境界)を設ける、という選択はありうるだろう。特に、親が執拗に子を支配し続けようとする場合については、そういえる。(51ページより)
ここは私の個人的な体験を明かす場ではないので控えるが、自分がたどってきた道を振り返るまでもなく、この文章には強くうなずくことができた。
特に「人生は、この親からしか生まれられないという必然と、誰もが必ず死ぬという必然の間に架かっている『まぼろしの橋』のようなものではないだろうか」という指摘には、「なるほど!」と思わずにはいられなかった。
「まぼろしの橋」の一方の橋脚というべき親子関係は、取り扱うのが困難で当然なのだから。