しかし、BISはこの難問に取り組み、各主要市場のデータを取っています(国内・海外取引の二重計上分を調整)。そのデータは3年ごとに公表されており、最近、2025年4月時点のデータが公表されました。それによると、為替取引額ベースで、世界で一番の為替市場は英国です。

日本は、英国、米国、シンガポール、香港についで、世界で5番目になります。 取引額1位の英国のシェアは37.8%で、2位の米国の18.6%をかなり引き離しています。

これは、英国のロンドン市場がアジア市場とNY市場の中間に位置し、両方と取引時間帯が重なる、という事情によるものと考えられます。

気がかりなのは、日本のシェアが低下してきていることです。 前回の2022年のデータでは、4.4%だったのが、2025年には3.5%に低下し、4位の香港(7.0%)の半分の水準になってしまいました。

なお、BISの通貨別データを見ると、米ドルの取引高シェアは89.2%と断然1位で、2位はユーロの28.9%、3位が円の16.8%となります(2つの通貨の間の取引額は各々の通貨に重複計上)。 円は2022年のデータでは16.7%だったので、わずかながらシェアは増加したことになります。

東京の外国為替市場のシェアは低下したが、世界での円の取引高シェアは微増した――このデータから言えるのは、「東京市場以外での円の取引が増えた」ということになるでしょう。

※第1回はこちら:「円安で日本が弱くなる」は本当か? 元財務省官僚が教える「黒字大国日本」の強みとチャンス

大矢俊雄(おおやとしお)

DeNAチーフエコノミスト。元財務省審議官、元国際協力銀行常務取締役、元内閣官房内閣審議官。1986年大蔵省(現・財務省)入省。現在はDeNAチーフエコノミストを務める。著書に『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』(東洋経済新報社)などがある。

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