
「この劇団は1年前にスタートした。芝居の稽古を始める前に、まずはトレーニングから始めた。参加者の多くは障害を負った退役軍人で、日常生活での体の使い方や転び方など、体をどうやって制御するかというところから学んできた」と、振付師のオリガ・セミョシキナは言う。
「ようやく3カ月前から舞台の準備を始めることができた。今日のワークショップは、国立劇場のプロの俳優たちと経験を共有することが目的だ」
舞台上の動き、喜びや絶望の表現、演出家とのコミュニケーションなどを学ぶが、障害を抱える彼らだからこそ表現できるものがあるという。
あまりに痛ましい火傷姿
夫婦でワークショップに参加するイヴァンは、24年5月にハルキウの前線でロシア軍の滑空爆弾による空爆を受けて左足を失った。あごや額にも破片を受け、脳に近い部位ということもあり手術は困難を極めたという。妻のソロミヤは夫が負傷した当時のことを振り返る。
「それまで頻繁に連絡を取り合っていた彼と6時間以上も連絡が取れなくなった。異常事態が起きたと思い、所属する部隊に連絡を取ったところ、空爆でけがをして病院にいると言われた。5日後に『やあ、俺だよ。命に別条はないけど片足を失った。でも世界最高の義足が手に入るから心配しないで』と連絡があった」
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