「生き残ることが難しい状況下で私は生還できた。でも幸運には限りがあるということも理解している。私にとって、音楽は人生の大部分を占めている。音楽は言葉だけでは伝え切れないことを人々に伝えることができる手段だ」

彼女が奏でるピアノの旋律からは、戦争で体験した悲惨さというメッセージが伝わってきた。

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ドネツクとザポリージャの取材を終えた私は、キーウ市内で開催されている傷痍軍人向けの俳優育成を目的にしたワークショップを訪れた。

会場の文化センターには老若男女30人ほどが集まっており、2人のベテラン俳優の話に真剣に耳を傾け、そして笑いが起きるというアットホームな雰囲気に包まれていた。ドローンによって殺されることが常態化したウクライナで久しぶりに人間味に触れ、張り詰めていた神経が一気に弛緩するのを感じた。

グループの中に腕や足を失った兵士たちの姿があった。彼らがいま稽古している演目は、ウクライナの古典文学を代表する作品『エネイーダ』だ。

劇団では東洋武術などさまざまな活動も取り入れており、ボランティアの学生たちがサポートしている。

彼らだからこそ表現できる