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「領土分割のままの停戦であってはいけない」とオリガは言う(1月25日、ザポリージャ) PHOTOGRAPHS BY TORU YOKOTA

左目に破片を浴びて

仲間を救出した後、オリガの隠れていた塹壕から1メートルの距離に砲弾が落ちて、彼女自身も脳震盪を起こして体に破片を受けた。軽傷だったこともあり、すぐ部隊に復帰したが、同じ地域で再び惨事に見舞われた。

「車で移動中に地雷が爆発した。その瞬間に意識を失い、昏睡状態に陥ったようだ。左目と身体に破片を浴びて、その1つは頸椎の真ん中に刺さった。一歩間違えていたら大変なことになっていた」と、オリガは言う。

「左目以外にも障害が残るところだったが、日々、鍛えていた筋肉が守ってくれた。今は回復して、週に6回、ボクシングジムでトレーニングをしている」

開戦当初からオリガと共に戦い続ける上官はこう語る。

「オリガは歩兵時代から私の部隊に所属しており、家族のような存在。利己心がなく、素直で目的意識が高い。女性だからといって特別扱いをしないでほしいと言われた。左目を負傷した時は私も一緒にいたが、言葉にできないほど不安になった。彼女の回復後に私がドローン部隊に異動になったタイミングで彼女も一緒に連れてきた」

FPVドローンの開発はオリガにとって前線よりも安全な場所での任務だ。だが時折、再び最前線で戦いたいという気持ちになるという。彼女が借りているアパートの一室には、電子ピアノとギターが置かれている。

負傷後、数カ月間は腕を全く動かせなかったが、今ではようやく楽器を弾けるまでに回復した。戦場の最前線で経験した出来事や、目の前で命を落とした仲間のことを想いながら演奏をする。

傷ついた兵士たちの舞台