『グッバイ、ジューン』は病院に泊まり込み、食事は自動販売機のスナック菓子で済ませ、愛する人を寝る間も惜しんで介護した体験を持つ人なら、誰でも共感できるはず。脚本の可能性に気付いたウィンスレットは、思い切って監督に名乗りを上げた。

「脚本をジョーから渡された瞬間、私がやらなきゃ、私が監督しなきゃと思った」と、ウィンスレットは振り返る。

「あの脚本は手放したくなかった。他人に渡したくなかった。それに、息子にも現場に関わってほしかったの」

それまで監督業に進出しようと本気で考えたことはなかった。俳優よりも創作のプロセスに深くコミットしなければならない監督の重責を知っていたからだ。

企画、撮影からポストプロダクションを経て公開にこぎ着けるまで、作業が予定どおりに進むとは限らない。監督業に打ち込んだら、大切に守ってきたワークライフバランスが崩れてしまう。

だがこの機会は逃せなかった。自分の人生に縁のある物語を、自分の手で形にしたかった。息子をチームに加え、脚本家としての初仕事を支えてやりたい気持ちもあった。

「体形いびり」を越えて