『グッバイ、ジューン』の撮影現場で指揮するケイト・ウィンスレット
初監督作品『グッバイ、ジューン』の撮影現場で KIMBERLEY FRENCH/NETFLIX

「自分に言い聞かせたことをそのまま伝えたい。恐れることは何もない。あなたにはほかの監督と同じだけ、その立場にいる資格がある。前進して。チャンスがないなら自分で作って。夢を追求して」

さらに続ける。「私は演技ができればそれでよかった。映画に出ることになるなんて思いもせず、いつか舞台に立てたらいいなと願っていた。

時には自分を信じる気持ちが何よりも大事。この世界は殺伐としていて、足を引っ張る人もいるし、不愉快なコメントもたくさん聞く。そういう雑音に耳を塞いで、夢にしがみつくの。『私にはこの夢をかなえる資格がある』と信じる気持ちひとつで、時には試練を乗り越えられる」

『グッバイ、ジューン』では家庭生活と仕事が見事につながった。ウィンスレットの初監督作というだけでなく、この映画で長男ジョー・アンダース(22)が脚本家デビューを果たしたのだ。

基になったのはアンダースが映画学校の課題として書いた脚本だった。13歳でウィンスレットの母である祖母を亡くした自身の体験から紡ぎ上げた物語だ。

登場するのは架空の家族だが、その喜怒哀楽は実にリアルだ(ウィンスレットとミレンに加え、キャストにはトニ・コレット、アンドレア・ライズブロー、ティモシー・スポールら演技派がそろう)。

アンダースの脚本は駆け出しの若者が書いたとは思えない仕上がりで、観察眼の鋭さをうかがわせる。だが両親が優れたストーリーテラーであることを思えば、その才能にも納得。彼の父親はウィンスレットの2番目の夫で映画監督のサム・メンデスだ。

息子が脚本家デビュー