このままイランのイスラム体制が維持されるとすれば、イスラエル社会の脅威認識を変えない限り、この対立に終わりはないだろう。これまで水面下で行われてきた「影の戦争」は現在、公然の軍事衝突となり、双方の軍備拡張につながりつつある。

万が一、イランが核開発を本当に加速させれば、中東での核戦争の脅威が高まる。つまり、国家を守るための戦争が逆に国家の存続そのものを危うくするというパラドックスに陥っているのだ。

イスラエルには79年のイラン革命を機にイランから移住した多くのユダヤ系住民が暮らす。冒頭で紹介したメナシュリもその1人だ。イラン社会に精通する彼はイランのイスラム体制は簡単には揺るがないと強調する。

「最終目的の達成」が遠のくなか、イスラエルの政治家が国内のこうした声に耳を傾ける日は来るのか。依然としてその兆しは見えていない。

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